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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 16.
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間達にプレッシャーを与えていたというのに、用が済めば消えるようにいなくなってしまい余韻も残らない。
 三大国家垂涎の技術が使われているZEXIS機も、インペリウム帝国機には遠く及ばないと鼻で笑われている気分がする。
 いや。それは1つの事実として、今回の被害が如実に語っていた。
 結局、次元獣による被害はなかったものの、アリエティスのマリス・クラッドを受けゴッドマーズ他7機が損傷。怪植物の攻撃によって、ベクターマシン1機が損傷しバトルキャンプの滑走路に穴が開いている。
 しかも、未知の敵を活性化させてしまった事で、今後の不安要素が増した側面もある。
「やりたい放題で帰りやがった。どっちの敵も」
 もし、地上部隊に代わりSPIGOTの加速粒子を見舞っていれば、ソーラーアクエリオンの壱発逆転拳を敵に利用されはしなかったのか。クロウは考えかけ、空しいので思考を放棄した。
 確かにSPIGOTはブラスタの戦い方を変えたが、ソーラーアクエリオン以上の結果をもたらす事ができると仮定するのは傲慢だ。スフィアが何物であれ、壱発逆転拳と同じように敵の養分にされる可能性を高く見る方が自然だろう。
 ロジャー達ZEUTHの話を進めると、ブラスタの攻撃はいずれアリエティスと酷似した性質を持つ事になる。あのバラ群がアリエティスを欲するのなら、ソーラーアクエリオンの代わりにしゃしゃり出た瞬間、ブラスタは、あの花弁と同じ末路を辿っていたかもしれない。
 インベーダーも、エネルギー吸収という厄介な性質を持っている。接近戦を挑みつつそのリスクを回避するのは些か困難だが、連中は群れを成し積極的に襲いかかってくる。
 その為、対インベーダー戦は接近戦を回避せず決着をつけてゆくしかなかった。勿論、リスクを恐れぬ思想は、パイロットの判断の先にあるものではなく戦術予報士のスメラギが立てた方針だ。
 敵に利するものを全て取り除いて戦う事は難しい。未知なる敵との遭遇戦ならば尚の事。今回起きた生命の花の消滅がインベーダー戦の延長線上にあると考えれば、誰にも非がないとわかる。
 今夜のZEXISは、ベストを尽くしていた。
 気になるのは、あの敵を蔑視しているアイムが最善の策を常に選んではいないところだ。
 何故なのか。
「いちいち勘に障る奴だぜ」
 地上に目をやり、クロウは総毛立った。
『クラン! クラン!! どうした!?』
 呼びかけるミシェルが動転している。
 滑走路に、赤いクァドラン・レアが1機落下していた。SMSにはピクシー小隊のクァドラン・レアが3機所属しており、倒れている機体が誰のものかは機体色で幾らか判別がつく。
 しかし、呼びかけの繰り返しに一切応じず機体が損傷している様子もないだけに、ミシェル達の不安を煽った。
『何かが起きたとすれば、あのホワイト・
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