月下に咲く薔薇 16.
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行した時がそうであったように。
インペリウムは、被害者を装いつつも何か腹に一物を抱えている。やはり持ち出したクロウへの執着とティエリアへの態度に、ジェフリーはアイムの黒い計画の一端を垣間見ていた。
流石のアイムも、その慧眼には侮り難いものを感じ取ったらしい。『私の考えが甘い、とでも…?』と、気圧され気味に反発する。
ところが、言葉は半ばで中断された。矢のように放たれたバラ群の茎が、下からアリエティスを捕らえたのだ。
棘のついた発光する茎は機体の両足に絡みつき、本命の捕獲に満足したのか地上へ地上へと引きずり下ろそうとする。
『半端者の身で、このアリエティスに触れるとは!!』
アイムの形相が豹変するや、アリエティスの全身が目を射貫く赤い光に包まれた。
両肘と爪先から鋭利な刀身が現れ、一閃を放ちながら茎を瞬時に両断する。
その都度半球状の多色光は発生するが、一度として刀身を防ぐ事はできなかった。
アリエティスが動きの自由を取り戻すまで、ものの数秒もかからない。
しかし、アイムの反撃はそれで終わらなかった。
『クロウ・ブルースト! お前も狙われている!!』
ティエリアがブラスタの下方で盾になろうとするも、更にその下へとアリエティスが回り込む。
『身の程をわきまえなさい!! 「揺れる天秤」は私のものです!!』
腰を捻り回転を始めるアリエティスが、空中で憤怒と共に剣舞の嵐を巻き起こす。
Dフォルトは主の身を守ろうとするが、烈火の如く怒るアリエティスの攻撃を凌ぐ事はできなかった。虹色の発光現象が深夜の空を繰り返し鮮やかに彩る。
『俺達の攻撃が通用しないってのは歯痒いな…!』
頼みとするISCマニューバが弾かれ、アルトは自分の攻撃を遮ったDフォルトの彩光を苦々しく睨みつけた。
いや、彼だけではない。1ランク上の難敵に成長した分、滑走路上の仲間達も同じジレンマを抱えている。
スメラギはアポロのダメージを案じ、ベクターマシン3機にも母艦への帰投を命じた。
棘のある茎は接近する機体を激しく拒み、Dフォルトによる攻撃無効化は、デスティニーの長距離ビーム砲さえ多色光の中に飲み込んでしまう。
ダイ・ガードが敵に接近しきれずにいる中、ゼロとC.C.のガウェインが、新たに出撃したソルグラヴィオン、キングゲイナー、ニルヴァーシュの先頭に立ち一定の間隔でハドロン砲を放つ。
母艦ダイグレンも岬の突端でようやく旋回を終え、滑走路で何とか進行方向を変えると矢庭に走り出した。
ダヤッカが狙うのは、凍結ファイヤーを放つ敵の頭部だ。間近な敵を撃つ事ができない攻撃に、隣接はそれ自体が大きな意味を持つ。その上、艦体で敵の真正面を塞いでしまえば、定位置から特定方向に撃ち出すのが精一杯な凍結ファイヤーは全ての射線を塞がれた格好にな
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