月下に咲く薔薇 16.
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ポロ機の離脱が叶わない。拳は、ライノダモン様植物の腹辺りに埋もれている。完全に飲み込まれた格好だ。
『アポロ。ごめん!!』
一言詫びた直後、キラのストライクフリーダムがビームサーベルで収容しきれない右腕をやむなく切断した。
ようやくベクター・ソルが加速し上昇する。
『こ…、このくらい、どうって事ぁない、ぜ!』
もし合体したままの腕であったら、機体と同化している分、アポロが受ける衝撃は言語に絶するものがあったろう。スメラギとキラの判断は乱暴なりに正しい、とクロウも胸を撫でた。
『…まさか、壱発逆転拳が攻撃として通用しないなんて』ダイグレン内で顔面蒼白のロシウが額の汗を拭えば、『何でそんな事ができるのよ!?』と、ソシエもトレミーの中で少女らしくそっと唇を噛む。
『アイム・ライアード』ジェフリーが、今も尚バトルキャンプ上空に留まり続けるインペリウム帝国の幹部に呼びかけた。『何故、この事態の発生を許した?』
『私が、ソーラーアクエリオンを破壊しても良かったのですか? 先程の次元獣のように』
『そうではない。壱発逆転拳が敵に利する事を、お前は想定していたのか。それが知りたいだけだ』
一拍置いてから、『いえ。想像もつきませんでした』とアイムはしれっと呟いた。
『そいつも得意の嘘に決まってる!! ZEXISの力を食わせて敵が強くなれば、俺達がお前に頭を下げるとでも思ったんだろ!?』
激高するアルトに、『確かに、その側面が無いとは言わせない』とジェフリーも援護の手を差し伸べる。『アイム。お前にとってどうやら怪植物は、目障りでありはすれ、障害でも脅威でもないようだな。変質したDフォルトにアリエティスの攻撃が通用するから、始末などいつでもできる。しかも敵の巣窟への行き来さえ自在だから多少手強くなったとしてもまだ打つ手はある、と高を括っている。敵の思惑を余裕ですり抜け手の上で転がしているつもりなのだろうが、壱発逆転拳の力を吸収した事で、あの敵は多少なりとも神話的能力を取り込んでしまった。今後、お前が考えるように動くのだろうか』
ジェフリーの口調が、いつにも増して威厳と挑発に満ちた。
アイムも策士だが、奴には常に何処か孤高の頭脳を感じさせる机上臭がつきまとっていた。しかし、ジェフリーは違う。組織に所属し、率い、戦い、帰還する。その繰り返しの中で培った指揮官ならではの引き出しを持っている。
おそらく、この挑発的な態度を敵に向ける事は希有なのだろう。それでも今敢えて、マクロス・クォーターの艦長としてアイムと対峙しているのは、虚言家が壱発逆転拳を植物塊に食わせたと確信しているからだ。
もし本気で防ぐ気があれば、アリエティスは必ずやソーラーアクエリオンか植物に自慢の刃を向けている。5頭の次元獣を始末しなければ、との判断からわざわざ足を運び実
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