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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 16.
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声に張りが蘇った。
『よくやったぞ、アポロ!』
 オズマが上空で、戦況と隊の士気が共に好転したと確信する。
 しかし。
 それは、転換点であり、また始まりでもあった。
 怪物の内部で何かが動く。
 生命の花だ。輝花から、花弁が1枚ぽろりと取れた。
 落ちてゆく花弁は次第に光を失い、形が崩れるや、弱い光の粒子となって雨のように降り注ぐ。その粒を、幾重にも重なり絡み合う棘のついた茎が吸収した。
 1枚、また1枚と花弁が落ち、とうとう花は消えてしまう。
 それでも滑走路は、試合中のスタジアム以上に明るく眩しい。生命の花に代わり、バラ群が自ら発光しているからだ。
 やや緑に傾いた光色が、最早生命の花の輝きなど失われたと告げている。
 壱発逆転拳を無効化された?
 いや。輝花の力は、弾かれたのでも相殺されたのでもない。おそらくは、非常に深刻な事態の発生を指す。
 歪な三角錐が、再び形を変え始めた。未だに足はないものの、頭部と角の形状をよりはっきりとさせ、いよいよライノダモンに近づいてゆく。
 4つの砲塔が、その先端で光のリングを描いた。奴は、凍結ファイヤーを再びダイ・ガードに放つつもりでいる。
 トライダー・クラス機の半分という全高しか持たないものの、ダイ・ガードはひどく足が遅い。
『下がれ、赤木! 避けるのが先だ!』
『だけど青山! ソーラーアクエリオンのパンチが食われたままなんだぞ!!』
 食われた。そう、赤木の表現は実に的を射ている。
『壱発逆転拳の生命力を、これ幸いと自分のものにしたんだ。奴は』
 歯噛みするアスランの言葉に、皆も同じ感想を抱いていた。
 バラ群の中で、特に艶やかな発光で目を引く部分が随所に見受けられる。
 花だ。その数を増やしながら、開花する側から、妖しい赤色で生命の喜びを歌っている。
『な…、何なんだよ? 一体』
 アポロの自問に、『下がれ!』とオズマが気合いのこもった一喝をする。『送り込んだ力を敵に吸われている! そのままでは、いずれ機体も食われるぞ!!』
 皆の推測を裏付けるように、怪植物の茎が背中部分を中心に突然激しい勢いでほどけ始めた。
 ソーラーアクエリオンの最強技で砕かれた場所は、既に修復されている。生命力を増し株の絶対数が増えたのか、茎の幾らかを鞭のようにしならせ空中へと伸ばしても、ライノダモン様の形状が崩れる兆候は見られない。
 互いに茎が絡み合ってゆく。その束が、ソーラーアクエリオンの腕を伝いつつ機体本体へと勢いよく迫った。
 アスランとシン、ルナマリアがビームライフルで茎を撃つ。が、それらは悉くDフォルトによって遮られた。
『分離するのよ! 早く!!』
 スメラギの声で、アクエリオンは3機のベクターマシンに分離した。
 但し、右腕部分は取り込まれたままの為、ア
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