Fate/stay night
番外編050話 凛の夢 6話
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「……あれ? あたしは確か……」
「ああ、気が付いた?」
ふと我に返った綾子が周囲を見回しながら呟くと、隣からそう声を掛けられる。
声のした方へと振り向くと、そこにいたのは自分の友人でもある遠坂凛。
「遠坂、ここは一体?」
「あら、以前にも一度経験したでしょ? アークエネミーの記憶よ、記憶」
その言葉を聞き、綾子もすぐに思い出す。
初めてみたアークエネミーの記憶は、色々な意味で刺激的だった事を。
自分や凛もアークエネミーに抱かれたが、それとは比べものにならないくらいに激しい行為だったのだ。
正直、自分がああいう風になるのかと思えば、意味もなく喚きたくなる程の羞恥にすら襲われる。
「っ!?」
だからこそ急いで周囲を見回すが……そこにあるのは、前回のような巨大なベッドの類ではなく、どこにでもあるような居間だった。
そこに、アークエネミーを含めて4人の人物が座り、食事をしている。
桃色の髪、赤紫の髪、茶色の髪。
登場している人物は、前回の夢で女というものを見せつけられた3人。
そんな3人とアークエネミーの4人が笑みを浮かべて食事をしている。
「……これなら勝ったわね」
食事のメニューを見ながら呟く凛。
料理を……特に中華料理を得意としている凛だが、朝食のような簡単なメニューは当然簡単に作れる。
それを思えば、今テーブルにある朝食と思われるメニューは、明らかに自分の方が上手いと思えた。
逆に、料理がそれ程得意ではない……カレーのように大量に作る料理は得意だが、少ない量だと上手く作れないという特徴を持っている綾子は、思わず下を向く。
「○○○○○○○○、○○○○? ○○○○○○○○」
「○○○○○○。○○○○○○○○○○? ○○○○○○」
会話が聞こえてくるが、相変わらず何を言っているのか意味が分からない。
それにもどかしい思いを感じながらも、じっと食事風景を眺める。
「昨日の夢の事も考えると、多分この3人がアークの恋人なんだろうな」
ポツリと呟く綾子のその声は、どことなく悔しげな……嫉妬にも近い思いが混じっていたのだが、それを呟いた本人も、そして近くで聞いていた凛も、それに気が付くことはない。
そんな中、食事が終わって少し経ち、出掛けようというのだろう。アークエネミーと思しき男が立ち上がり……恋人と思しき3人と、朝の挨拶にしては過剰に思える程の深い……舌を絡ませるようなキスを3人としているのを見ながら、綾子と凛の意識は途切れるのだった。
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