月下に咲く薔薇 15.
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しょう。ライノダモンの体を取り込む事で、その能力を利用しているに過ぎません。ライノダモン自体は既に生命機能を停止していますし、私や他の次元獣を識別する事も難しい筈です』
「待てよ。それっておかしくねぇか!?」思いがけずクロウは、吹き出した疑問をアイムに投げつける。「形は変わるし攻撃もする。死んでいるようには見えねぇ! だがてめぇは、あれには誰も乗っていないと断定した。だったら、あれが動くのは何故だ?」
『お話したばかりではありませんか』
激昂するクロウに、何とアイムは目を細めた。愚者を愛でる賢者の眼差しのつもりか。
いや。単に、ひどく動揺するクロウの様子に酔いしれているだけなのかもしれない。
『人間という生物を超越した存在。残された者共の力が、あれをライノダモンのように機能させているのです』
『ちっ! そんな奴らが相手だと、俺達じゃ話にならないっていうのか!?』
見くびられたものだと、オズマが憤慨した。
もし。生命や科学を超越したところに立つ者達と戦い勝利する事ができないとなると、ZEXISの存在意義は大きく揺さぶられてしまう。人間という枠を越えた皇帝ズール、完全に系統の異なる生物バジュラやヘテロダイン、イマージュの脅威に破格の戦力でも太刀打ちできないとなれば、武力を行使し人類を守る事はできないとの結論に達してしまうからだ。
実にアイムが好む論理と映る。その分、得意の嘘が中にたっぷりと練り込んであるように思えてならなかった。
クロウだけではない。ZEXISの全員が同じ思いを共有する。
『お前が何を並べ立てようと、俺達はやめないぜ。人類の為の戦いってのをな』
ロックオンが、決然と皆の思いを代弁した。
『しかし、バトルキャンプへの侵入一つ阻止できないあなた方に、一体何ができるというのです?』
『そ…、それは…』
言い淀むティエリアに、アイムが甘く囁いた。
『私にクロウ・ブルーストとブラスタを預けなさい、ティエリア・アーデ。彼を守るだけでなく、残された者共をこの世界から、見事切り離して差し上げましょう』
『何をたわけた事を…』
突き放そうとするティエリアに、アイムは名指しでしつこく絡みつく。
『ティエリア・アーデ。貴方は、2人目のロックオン・ストラトスを生み出したいのですか? 後に愚かな選択で苦しむのは、仲間の方なのですよ。二度と戻らない仲間の右目と正しい判断。…貴方の望みは、そのどちらなのでしょう?』
− 16.に続く −
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