月下に咲く薔薇 15.
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しながら冷笑する。『異端の機体とパイロットを擁するZEXISとはいえ、所詮はただの人間という生物の集まりです。半覚醒の「揺れる天秤」ですら対処しあぐねているあの者共に、あなた方如きが何をしようというのですか?』
『それは、生物的に違う、という事なの?』
スメラギの問いに、『ええ、間違いありません』とアイムがほくそ笑む。『さぁ、分というものを弁えなさい。多元世界とその境界に翻弄されるしかない人間風情に、クロウ・ブルーストの身を守る事などできないと思い知るのです!』
『…全く、どっちの味方なんだよ』
聞き捨てならない暴言の連続に、ミシェルがぼそりと呟いた。
交渉は友好的なムードとはかけ離れたところで泥を被り、両者の間では、正常なコミュニケーションが全く成り立たない。まるで違う言語を話す者同士の会話だ。
突然、滑走路上で青白い炎が暴走した。
『おいっ!! これは』
ソーラーアクエリオンが咄嗟に自らの機体を盾にし、ルナマリアのフォースインパルスガンダムを庇う。
直後、炎がソーラーアクエリオン全体を氷で包み込んだ。
氷面にひびが入り、氷塊が内側から爆発を起こす。
幸い、エレメント操者達の機転によりルナマリア機に大事はなかった。アポロ達の機体も、戦闘を継続するには問題のないレベルで悠然と立ち上がる。
『あれって凍結ファイヤーだよね』
『でも、自分で体の向きを変えられないみたいだし。わざわざ真正面に回らなければ、避けるのは楽勝よ、ね…』
砲塔から角状突起に戻る茎束をアレルヤが仰げば、ダイ・ガードの中でいぶきが不動の敵の軸線上にあるものを知り渋面を拵える。
基地のレーダーだ。
『…植物と侮って謀られた。これは、誰かが敵の前に立ち引きつけるしかない』
ソーラーアクエリオンの中で、シリウスが誰よりも早く覚悟する。
『だったら、他の方向に気が向くようにすればいいだけだ!!』
アスランがジャスティスで肉薄し、右手に握ったビームサーベルで敵を上から突こうとする。
未熟体の最下位次元獣ダモンなら、今の一撃で消滅する威力だ。が、落下の力を味方につけた高速の貫通力を以てしても、怪植物のDフォルトを破る事はできなかった。
『こいつ、少しづつ攻撃が効かなくなってるぞ!!』
『オリジナルより強いライノダモンもどき、か!? こいつはやりにくいな…』
青山の叫びに、ナオトが改めて上空から敵の全容を見下ろす。
形はバラの茎の塊だというのに、戦闘から受ける印象はライノダモンに近かった。Dフォルトで一定以下の攻撃を無効化し凍結ファイヤーまで放つバラ群を、未知なる植物と認識するのは無理というものだ。
そのバラ群を指し、ジェフリーが『あの塊の中に操縦者はいるのかね?』とアイムに尋ねた。
『いいえ。おそらくあれは、単なる試験体で
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