月下に咲く薔薇 15.
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「何だ!?」
海中で戦闘を開始したクロウにも、空中の異変はすぐに察知する事ができた。
ブルダモンが直前で攻撃を躊躇し、節の多い2本の角状突起を延ばしたまま長い首で海面を仰いだのだ。
たとえ月の出ている夜であろうと、日中のように深夜の海中を明るく照らしはしない。夜の水中戦は、宇宙戦と同じだ。有視界戦闘には不向きな環境で機内のパイロットが見るのは、熱源解析をメインにしたブルダモンの加工映像になる。
一度出現してしまえば、次元獣は遭遇歴のある放熱体としてブラスタが識別した。集積してゆくデータは画像に統合され、パイロットであるクロウにリアルタイムで提供される。
敵の姿勢と状態から、今正に放電ホーンを仕掛けるつもりでいたと判断できるのは有り難い。方向と距離、深度だけを頼りに戦うのとは訳が違う。
未だネットを被ったままとはいえ、海中のブルダモンは移動と戦闘のいずれもが可能だ。クロウが標的にしている個体は足にワイヤーの拘束が無い上、水流の助けを借り不自由な体の動きを良くしている。流石に爆裂フライを放つのは無理だが、その分、ネットに覆われたまま突進をかけ放電ホーンを繰り出す筈との予想は簡単についた。
逆に、足にワイヤーをかけられているブルダモンは、必ずや爆裂フライをZEXIS機に見舞うとの予想も成り立つ。
怒りを攻撃に変える方法を、連中は他に持っていないからだ。
それだけに、ほんの僅かなものでもいい。仕掛けの兆候となるものは、パイロットとして喉から手が出る程欲しかった。
元々、敵の水中適応は侮れない。ソレスタルビーイングのガンダムやグレンラガン、KMFなど、数多のZEXIS機を凌ぐ。ブルダモン以上の次元獣は、全てが水中戦を得意とするのだ。
そのブルダモンが、海面より更に上、空中に気を取られて攻撃を遅らせた。
「戦闘中のよそ見は命取りだぜ!」
次元獣の左手に回り、EAGLEの狙撃用実弾を叩き込もうと構えに入る。
正直なところ、クロウもまた上空の様子については訊きたい衝動を内包していた。が、敢えてぐっと堪える。
上空にあった筈のライノダモンの反応が消え、新たな敵の出現をブラスタが捕捉している。
愛機は、それをアリエティスのものと告げていた。幾度となく戦場で見えている虚言家アイムの専用機だ。
ライノダモンに異変が起きたタイミングで現れた意図は不明だが、目前のブルダモンを投げ出してまで離水する必要はないと考える。上空には、経験も豊富で頼りになる仲間達がいるのだから。
スメラギがブラスタに対ブルダモン戦を割り振った理由は、1つ。ブルダモンに匹敵する高い水中適応を備えているところを買った為。故に、水中戦向きの機体に乗るパイロットは皆、腹を括って臨んでいる。
それは、デュオのデスサイズ、五飛のシェンロンガンダム、ゴ
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