暁 〜小説投稿サイト〜
小さな棺桶
1部分:第一章
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がそれより前に。
「金貨を頂きたい」
「金貨を」
「左様」
 夜の話の通りだった。こう彼に言ってきたのだ。
「金貨をです。宜しいでしょうか」
「私が受け取るのではなくて?」
「貴方が払うのです」
 理不尽にこう言うのだった。
「宜しいですかな」
「まさか。御冗談でしょう」
 彼はそれを相手にしなかった。だが心の中ではやはり、とも思っていた。しかしそれをあえて隠して話を続けるのだった。これも好奇心故である。

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