第3章 リーザス陥落
第62話 レッドの町に迫る驚異
[13/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とも今晩から明日にかけて。
そう、予知染みた物を感じ取ったのだ。
「ああ、何か見えない粘液がカラダにまとわりついている様だ。……こう言う嫌な感じは結構当たるんだ。嬉しくないがな」
「自分もです。……ですから、それを振り払う為に、身体を動かしているのかもしれません」
剣を何度も振るい、そう答えるリック。
修練、と言っていたが、彼が言うようにある種の不安を消す為にしているという事もあるのだろう。
「……なら、付き合おう」
「え、しかし。ユーリ殿はお疲れに……」
「大丈夫だ。ここには 腕の良い治癒術者達もいるし、……それに、色々とコネのある不良神官もいるんだ。それなりに無茶しても、無茶に入らない。……身体を動かした方が気も紛れる」
「そうですか」
ヘルメットの奥にあるリックの素顔。それも笑っている様に感じた。
「では、軽く手合わせ願います」
「ああ。宜しく」
ユーリも鞘から剣を引き抜いた。その剣を見て、リックは口を開ける。
「それは、妃円の剣。……リーザスの剣ですね」
「ああ、以前、依頼でちょっとな。火事場泥棒か、とも思ったが。廃屋だったから、ダンジョンで手に入れた宝と解釈してるよ。一応 許可っぽいのは貰ってる。……まぁ、返してくれと言われたらちゃんと返すよ」
「いえいえ、剣は主を選ぶ。と言います。私も何度かそれを振るっている者を見た事がありますが……、貴方が持っているその剣の様に輝いては見えませんでした。……何処か曇って見えてました。ユーリ殿はその剣の全てを引き出しているのですね。剣も貴方に使ってもらって本望でしょう」
「随分と大袈裟だな? ただ、オレの手入れが良いだけ、なのかもしれないぞ? 冒険者だから、結構武器のメンテは マメにする様にしてるんだ。何年も使っていて所々傷んでいたからだけど、以前のコロシアムで武器を壊しているから」
ユーリは笑いながらそう言う。
リックは、本気でそう思っていた。最初見たときは、それが妃円の剣とは判らなかった。だが、鞘と刀身の根本に小さな紋章があり、それを見て判ったのだ。
そして、ある疑問も見受けられる。あの剣は由緒正しい名剣だ。だが、その歴史は古く……何度か使われているのも見た。如何に名剣といえど、使い続ければ刃こぼれが生じていく。……如何に優秀な鍛冶屋といえど、修復には限度があるのだ。
だが、ユーリの使っているそれは、輝きを遥かに増しているのだ。まるで、剣が生きているかの様に、人と同じ様に 使えば使うほど、強くなっているかの様になっているのだ。
「行きます」
「来い」
リックは、疑問を胸の内にしまうと、ユーリに打ち込んだ。袈裟斬り気味に打ち込むが、ユーリの剣はそれを弾く。きぃぃんっ!と言う音が周囲に響き渡
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ