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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第163話 復讐の顛末 中編
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取り戻し正宗に返事した。その様子を正宗は見ていた。彼は彼女の態度で何か察したのか暗い表情をした。だが直ぐに正宗も表情を元に戻した。

「そうか。それは良かったな」

 正宗は孫観に笑みを浮かべて言った。

「逃亡した蔡仲節達の件は追撃隊に?異度がいれば問題ないだろう」

 正宗は襄陽城のある方角を見て言った。しばし、彼が空を眺めていると彼は表情をしかめ鋭い目つきに変わった。

「清河王、何かご懸念でも?」

 正宗の様子の変化に気づいた孫観は真剣な表情で声をかけた。正宗は孫観の声に反応することなく、鋭い視線を北東の方角に向けた。

「孫仲台、この地から北の方角には船が通れる程の大きな川があったはずだな?」
「はい、付近を探索した斥候の兵から仰る通りの川があると話を聞きましたが。何か問題がございましたか?」

 孫観は要領を得ない表情で正宗に答えた。正宗の表情を段と険しくし、緊張した表情で北東の方角を睨んでいた。

「北東から敵が迫ってきている」

 正宗は苦虫を噛みつぶした様な表情で北東の方角を睨んだ。その様子に孫観は戸惑いながらも状況を理解しようと平静を装っていた。伊斗香が居ない留守を狙って夜襲をしかけてきたのは嘗ての同僚を襲うのが忍びないとかではなく、自分たちのやり口を知り尽くした伊斗香を警戒してのものだろう。

「何故、敵が北東から迫っていると思われるのですか?」
「時間がない。孫仲台、諸葛清河国相、荀文若を急いで呼んでこい。二人に伝えたら、兵達をたたき起こしてこい」

 正宗は有無を言わさない態度で孫観を黙らせた。しかし、彼の雰囲気からただことでないと感じた孫観は拱手し急いで去っていた。



「正宗様、火急なお召しと聞きまかり越しました」

 正宗が軍装に着替えていると朱里と桂花が彼の陣所の陣幕越しに正宗に声をかけてきた。

「非常時だ。早く入ってくれ」

 正宗の慌ただしい様子に両名は目を合わせて陣所内に入った。

「近衛の者から敵が迫っていると聞きましたが本当ですか?」

 朱里は正宗に確認するように聞いてきた。彼女は正宗が離れた場所の人間の気を感知できることを知っているためか疑いというより、話の詳細を聞きたい様子に見えた。対して桂花は正宗の言葉に半信半疑の様子だった。しかし、正宗が秋佳の削げた鼻を再生させたのを目の当たりにしているからか、正宗の発言を戯言とは思っていないように見えた。

「本当だ。北東から敵が迫ってきている。数は五千は超えているだろう。正確な数はわからない」

 朱里と桂花は正宗の言葉を聞き冷静だった。陸路から五千もの兵を動かすなら斥候が見逃す訳がないからだ。となれば陸路から進軍してきたのではない。考えられることは一つだけだった。


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