第163話 復讐の顛末 中編
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体裁を取るでしょうが、蔡仲節達を救うと見せかけて見捨てると思っています。そのための夜襲です。夜陰に紛れての混戦した結果救うことができなかったと蔡徳珪は方便も立ちましょう」
朱里は淡々と彼女が分析した考えを説明した。彼女の中では蔡瑁が蔡仲節達を救う可能性は限りなく低いのだろう。正宗が桂花に視線を向けた。
「桂花はどう思う?」
「朱里殿と同じ意見です。処刑を延期し間が開いたことで蔡徳珪は出てこざる終えなくなりました。何もせず襄陽城に籠もっていたとあっては彼女は臆病者の誹りを受けるでしょう。正宗様に対し籠城戦にて持久戦に撃ってでようという彼女にとって、これ以上自軍の志気を落とすことは何としても避けなければならないはず。ですが、蔡徳珪が自軍を損耗してまで、蔡仲節達を救いたいと考えているとは考えにくいです。彼女は部下を平然と切り捨てています。そして縁者である秋佳にも情け容赦ない」
桂花の喋る様子から彼女にとって蔡瑁が万が一でも蔡仲節達を救うために動くつもりはないと確信しているようだった。彼女の中では蔡瑁の出陣は自軍への引き締めと志気を維持させるためと見ているのだろう。
「正宗様、桂花殿の言う通りです。蔡徳珪が本気で蔡仲節達を救うなどないでしょう。蔡徳珪は籠城する側です。兵も食料も物資も消耗するのみ。大して正宗様は攻める側、蔡徳珪も正宗様が荊州の諸豪族から食料物資を徴発したことは承知のはずです。この機会に乗じて蔡徳珪は我が軍の兵力を損耗させることが目的だと思います」
朱里は沈着冷静に自分の考えを正宗に説明した。
「一族を見捨ててもか?」
「正宗様、蔡徳珪のこれまでの行動を見れば、彼女が情にて動く者でないことはわかります。実妹を殺され逆上したのは事実でしょう。しかし、蔡徳珪は幾度となく人を使い捨ててきました。極近い身内には情深くとも、その外にいる者へ向ける情などないのです。一族を殺されようと襄陽城に籠もっていたのがその証拠です。一族を殺されたことを恨みに抱いていたとしても、それは正宗様が彼女の面子を潰したことえの怒りでしょう」
朱里は蔡瑁を軽蔑しているのか歯に衣着せない蔡瑁への評価を口にした。
「蔡徳珪は正宗への反抗心を見ても気位の高い人物だと思います。しかし、ある程度の知恵は回る人物です。そして、冷酷で残忍な性格です。自軍に多大な損耗を覚悟して攻めてくることはないでしょう。形成不利と分かれば直ぐに撤退するはず。ならば対応のしようはあります」
桂花は朱里の説明を補足すように意見を加えた。
「蔡徳珪は荊州で州牧である劉景升の外戚して権勢を欲しいままにしてきた。その驕りから気位が高いのだろう。このまま一族を私に粛正されるのを黙って見ているのは蔡徳珪も我慢ならないであろうな。ならば私を襲撃するのは今かもし
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