第163話 復讐の顛末 中編
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ます。後一ヶ月もしないうちに荊州に到着します。そのため蔡徳珪は自軍の損耗をできるだけ抑えようと考えるはず。蔡徳珪が我が軍を積極的に攻める方法は限られてきます」
「奇襲。もしくは夜襲ということか?」
「はい、ですが時間的な制約を考えれば選択肢は夜襲しかありません」
朱里は正宗に意見した。桂花も朱里の意見に同意見なのか頷いた。
「夜襲であれば攻める兵数も少なくて済むか」
正宗は腕組みして考える仕草をした。
「今までの蔡徳珪の手口から考えて、夜襲に乗じて正宗様を暗殺しようと別働隊を用意している可能性もあります」
桂花が正宗に言った。正宗は桂花の話に頷いた。しかし、その表情は苛立っていた。
「蔡徳珪は大馬鹿者だ。手練れの兵を使い捨てにするなど愚かとしか言いようがない」
正宗は三度の襲撃を受けた。そのいずれも盗賊のような半端者を暗殺者として送るわけでなく、生粋の武人のような者達が暗殺者だった。希有な人材を使い潰す蔡瑁の姿勢が正宗には心底不快そうだった。
「幾ら蔡徳珪とはいえ、無尽蔵に手練れを暗殺者に立てることは無理でしょう。正宗様を襲撃する機会はこの機会を逃せばそう訪れないと蔡徳珪も思っているはずです。今回は蔡徳珪自身が出てくる可能性も十分あります」
「だが兵をいかに送り込む。少ない兵でも夜襲はできるが、こちらの兵の数は一万九千。寡兵で夜襲を仕掛けるのは自殺行為だぞ。しかし、ある程度の規模の軍を動かせば、夜陰に紛れようとが私達に気取られることを理解できないとは思えない」
正宗は朱里の考えに対して自分の疑問をぶつけた。蔡瑁は蔡一族が処刑されようと襄陽城に籠もり自制していたのだ。その人物が無謀な作戦を決行するとは思えない。
「蔡徳珪が動くならば荊州水軍を使うはずです。現在においても水軍は割れたままです。水軍が一枚岩でない以上、蔡徳珪の命を受け動く者達もいるでしょう」
桂花は正宗に言った。正宗は荊州水軍の存在を失念していたのか苦虫を噛みつぶしたような表情になった。
「我が軍はこの辺りの地理には疎いです。大して荊州水軍はこの辺りの河川の情報は熟知しているはず。荊州統治の要である水軍であれば、夜陰を利用して大軍を移動させる術もじ熟知している可能性があります」
朱里は難しい表情で正宗に言った。この地の出身の伊斗香を蔡一族の追撃隊に回すことを痛い。朱里はこのことを恐れ蔡平の復讐案に乗り気ではなかったのだろう。だが、彼女も既に蔡平の件を承諾した以上、泣き言を言うつもりは無いはずだ。その証拠に朱里の表情に不安はなかった。
「朱里、蔡徳珪は蔡仲節達を救うために決死の覚悟で挑んでくると思うか?」
正宗は朱里に問いかけた。朱里は頭を振る。
「蔡徳珪は名目上は救援のための出陣と
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