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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第163話 復讐の顛末 中編
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 正宗は蔡一族の処刑を明日にずらし、襲撃した村に程近い場所に宿営することにした。拘束された蔡一族は一カ所に集められ、見張りをつけ急ごしらえの木製の檻に収監された。彼らには正宗の計らいで夕餉(ゆうげ)が差し入れされたが、明日に処刑される身の上を悲嘆しているのか料理の内容が気に入らなかったのか料理に手をつける気配はなかった。年少の子供達は空腹に堪えられず料理に手をつけていたが、一口食べると落胆した表情に代わり、それ以上手をつけなかった。彼らに出された料理は正宗軍で一兵卒から正宗までが食べる料理だった。正宗は行軍中は雑兵達と同じ料理を食べることにしている。これは正宗以下行軍に同行する上級文武官も同様だった。正宗は蔡一族に対して悪意をもって差し入れしたものではない。しかし、蔡一族は正宗が彼らに悪意を抱き粗末な料理を差し入れしたと考えているか、蔡仲節他数人の大人達は苛立った様子で料理を睨み付けていた。



 正宗は自分に憎しみを向ける蔡一族達を余所に一人陣所で椅子に腰を掛けて瞑目していた。

「清河王、諸葛清河国相と荀文若様が参られました」

 正宗の陣所に控える近衛兵が正宗に声を掛けてきた。正宗は目を開け陣所の入り口に視線を向けた。

「通せ」

 正宗は短く返事した。すると朱里と桂花は近衛兵が挙げた陣幕を潜り中に入ってきた。

「二人ともよく来てくれたな」

 正宗は自分の目の前で拱手する二人に声を掛けた。

「この時間にお呼びになると言うことは蔡平の件にございますか?」

 朱里は徐に正宗に言った。桂花も朱里と同じことを言うつもりだったのだろう。正宗に何も言わず沈黙していた。彼女の様子からして、正宗が普段と違い処刑を延期した時点で正宗の意図に気づいていたのかもしれない。

「その通りだ」

 正宗が朱里に答えると彼女は正宗が話し始めるのを待っていた。

「実は深夜に蔡一族を故意に逃亡させるつもりでいる。伊斗香が滞りなくやるように手筈を整えさせている」
「正宗様、蔡平には同情します。しかし、蔡一族を逃亡させてまで復讐の機会を用意する必要がございましょうか? 恐れながら、今夜は蔡徳珪が夜襲をかけてくる可能性がございます。復讐などと言っている時ではございません。襲撃に備え万全の体制を敷くべきにございます」

 朱里は正宗が計画に賛成していないようだ。蔡瑁の襲撃の可能性を警戒して、余計な不安材料をできるだけ解消したいように見えた。

「朱里殿、正宗様は仰る通りに甘いです。しかし、そのような正宗様だからこそ皇帝陛下は信任されたのでございますよ。人心は荒廃し乱れた世であるからこそ、人は義に厚き英雄に救いを求めるものです。今回の件はわざわざ情報を漏らさずとも、人々の想像を掻き立て人づてに荊州中に広がりましょう。さ
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