暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
奇妙なタッグ
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第三回バレット・オブ・バレッツ本大会である広大なフィールドマップ、その中央部に広がる廃都エリア。その外縁には散発的に参加プレイヤーの《死体》が転がっていた。

その中の一つ。筋肉質な意味で大柄なアバターが多いGGOではある意味で珍しい、贅肉的な意味で大きいアバターが地に沈んでいた。

待機ドームで双子に突っかかってきた男――――騒音(ライオネット)のパイツァーと呼ばれた男である。

彼は激戦である予選を駆け抜け、本大会までコマを進めていた。

倒れた大柄なアバター。通常、HPを全損したプレイヤーはその場で行動不能となり、本大会が終わるまで意識をとどめた《死体》となる。これは、プレイヤーがログアウトし、現実側から他のプレイヤーに情報を漏洩(リーク)することを防ぐための措置である。

視界端に据えられた、中身のないHPバー。

――――だが。

もぞり、と。

廃都だけにある地形特徴(アスファルト)がちらちら見え始める手前に無造作に投げ出されていた腕が、手が、指が蠢く。蠢きだす。

「…………ッ!クソッ、なんだ……?」

頭に手を添えつつ、パイツァーは腹を揺らしながら覚束ない足で立ち上がった。

周囲を見回して他の《死体》を視界の端に止めつつ、男は脳裏でない脳みそを使って考え始める。

確か自分は、主戦場である廃都エリアに行こうとしていたはずだ。そう、確かそうだ。一人ブッ殺して、スタート地点である草原地帯から北の砂漠地帯を掠めるように大回りで廃墟都市に向かっていたはず。

その過程で古くからのベテラン上位者(ランカー)に捕捉され、その追跡を振り切ろうと廃都に入ろうとして――――

そこから先の記憶は断絶している。

何か前触れのような、前兆のようなものがあった訳でもない。徐々にではなく瞬間的に、一気呵成に意識が絶ったのだ。

かつてないその奇妙な記憶の連続性に、パイツァーは眉根を寄せた。

それだけではない。視界端のHPバーは確かに全損している。なのになぜ今こうして起きて動けていられるのかが、どうしても判然としない。よくよく見たら、そのHPバーは時折ノイズが走ったようにその全容を霞ませている。

バグか?といぶかしむ男は、そこで声を聞いた。

「いつつ、どうなったんだこりゃ……?」

「アンタも気ィついたか!」

ほど近いところに倒れていた《死体》。その体にスイッチが入ったかのように芯が入り、起き上がるさまは先ほど自身で体験した現象にそっくりだった。

「確か廃墟都市地帯に行こうとして……死ん、だのか?」

「わからねぇ。ただ言えることは、何か異常が発生…し……て――――」

事情を説明しようとした口が、言葉が費える。

見たのは、光景。

散発的に
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