暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
奇妙なタッグ
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うにかくはずもない汗を拭いていた。

光剣(フォトンソード)という、運営体(ザスカー)のプログラマーが趣味だけで設定したとしか思えない武器のピーキーさは狙撃銃の比ではない。

射程は、刀身の長さである約一・二メートル。GGO世界最小の実弾銃《レミントン・デリンジャー》の有効射程はわずか五メートルしかないが、それよりも遥かに短い。しかし、その青白く輝くエネルギーの刃には、想像を絶する威力が設定されている。何せ、至近距離から発射されたヘカートの50BMG弾をも切断してのけたくらいだ。

あらゆる弾を斬れるということは、見方を変えれば、世界最強の対弾兵器だということでもある。とは言え、幅僅か三センチの刀身で、音速を遥かに超えて襲い来る銃弾の雨を防ぐのはいかに《弾道予測線》があるといっても至難の業だ。

だがシノンはつい先刻、ノリンコの銃口から繰り出された弾幕を、空中に光の残像を無数に引きながら命中弾のみ次々弾き落とすキリトの技をまざまざと見せられてしまった。

いったいどういう練習をすれば、そんな技術が身に付くのかシノンには想像もつかない。いや、それはもうVRゲーム上の技術(テクニック)ではないのかもしれない。アバターと一体化したプレイヤー自身の経験、信念、そして魂の力。

何故か展開した光剣を左右に軽く振ってから背に持って行こうとして固まるアバターの背中を見ながら、シノンはそんなふうに感じずにはいられなかった。

「いやぁ、危なかった危なかった」

「どこがよ。全然ラクショーに見えたけど」

そんなことないって、と気負いなく言うキリトはベルトポーチを探って筒形の救急治療キットを取り出すと、ぎこちない手つきで首筋に先端を当て、反対側のボタンを押す。

ぷしゅっと小さな音が響き、回復(ヒール)エフェクトの赤色が一瞬アバター全体を包む。キット一つでHPを三十パーセント回復できるが、百八十秒もかかるので戦闘中に使ってもあまり意味はない。

だが彼は被弾していないはず、と考えたシノンの心を読んだかのように、黒衣の剣士はちらりとこちらを見、次いで己の右太腿の部分を指指さした。

つられるように人差し指の先をたどると、確かに被弾の証である紅色のダメージエフェクトが二発、煌々と輝いて残っている。

キリトは小さく肩をすくませ、どこか独り言のような言葉を吐いた。

「ユウキなら命中弾どころか、全弾叩き落とせただろうけど、俺ができるのはこれくらいがせいぜいだよ」

「ユウキって、予選で大暴れしてたって噂の新人(ニュービー)?知り合いみたいだけど」

「……うーん、昔やってたVRMMOからの顔馴染み、かな?」

嘘は言っていない、と思う。だがこれは、遠回しにはぐらかされたのだろう、とシノンは思った。

同時に、胸
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