第二章 歌川遼
第二話 先輩
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オレは如月先輩を追いかけた。
菊地原だってあぁ言いながらかなり心配しているはずだ。
着いたのは本部の屋上。
風が強く、バランスを崩したら屋上から、まっ逆さまなんてありそうだ。
「先輩、風が強いですから危ないですよ」
「あっれ〜歌川くん?どうしたの?」
「どうしたの・・・って先輩を追いかけて来たんです。
菊地原は口が悪いが、いいやつなんです」
「知ってるよ。彼、私に似てるから。」
似てる?
似てない似てない。
如月先輩があの場面で怒るのはわかる気がするし、菊地原より素直だし。
それによく笑う。
「あー、疑ったな〜ひどいやつ。あはは。まあそうよね。かなり訓練したのよ、このしゃべり方」
「そうなんですか?可愛いですね」
「・・・お世辞、上手いって言われるでしょ?」
お世辞・・・じゃないんだけど。
声、声優さん向きな声してるし。
「私さ、かなり自分がうざくて・・・
顔がかなり嫌いなの。
だって聞いてよ?
ぼーっとしてたらいきなり『あいつ怒ってるぜ?』ってこそこそ言われるの。腹立つ」
確かに、一人でいるときの如月先輩はなんだか不機嫌に見える。
「外見と中身の違いからよく誤解されてさ。
見た目は頭良さそう。中身は頭悪い。
見た目は真面目そう。中身はそうでもない。
かなり腹立つよ。
菊地原くん、耳いいから自分の悪口聞けちゃうし。
あんな性格になるのが、普通だよ」
「そうかもしれませんけど・・・あれは菊地原が悪い」
「歌川くんって頑固ね・・・
本当は言葉使い悪くて、暴力的で友達いなかったの。
寂しくて・・・だから頑張って今みたいに笑えるようにしたのよ?
でも反動で怒るとつい、後先見ずに・・・
今してみれば、怒る場面じゃなかったわね」
「確かに菊地原が人間不信になったって、不思議じゃないですね。
でも、先輩は自分の理想と現実にうち勝ったじゃないですか」
我ながら格好つけたな・・・
恥ずかしいぞ、これ。
如月先輩は驚いた顔でオレを見る。
「そうかな?だけど、米屋くんには謝らなきゃ。
驚かせたよな〜
太刀川さんには謝る必要はないとして・・・
菊地原にもいいか。謝る必要ない。
あれには自分が悪いと反省させる。」
「先輩の方が頑固です・・・」
「あはは。そう?
歌川くん、丁寧語で話さなくていいよ?
先輩なんて言われたことないから、慣れないな〜」
先輩に先輩付けするな。
難しい注文だ。
慣れたものをやめることが一番難しい。
「じゃあ先輩も。
そのしゃべり方、辛くなったらいつでもやめていいですからね」
「・・・うん、ありがとう」
そして、もうひとつ。
気になることが・・・
「如月・
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