3部分:第三章
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第三章
メニューは白米に鶏の唐揚げ、それに野菜の煮付けとデザートにオレンジが入っている。そうした組み合わせであった。梅干もそこにはある。
「随分いい具合に進んでるよ」
「おかしい具合にな」
「ですよね。あの人の作品になると」
その中にはあの若いスタッフもいた。彼もロケ弁をぱくつきながら話に加わる。プレハブの小屋の中は和気藹々とした雰囲気だった。
「もう時間もお金も何もなくて大変ですからね」
「口出しは相変わらずだけれどな」
「プロデューサーなのにいつも現場にいるからな」
それが彼のやり方なのであった。
「それで何でもあれこれ介入するからな」
「プロデューサーの仕事は予算や時間の上手い調整なんだぞ」
これはもう言うまでもない。プロデューサーとは言うならばゼネラリストだ。広範囲にものを見てそのうえで統括するものである。
「けれどあの人って」
「だろ?若田部ちゃん」
「そこなんだよ、そこ」
皆若いスタッフの名前を呼んで言ってきた。右手の箸を振りながら。
「あれはそれが全くわかってないんだよ」
「プロデューサーがまず予算と時間を滅茶苦茶にしてどうするんだよ」
「無駄に金かけ過ぎだっての」
「変なところにこだわって時間も食ってるしな」
「ですよね。普段なんかロケ弁も」
ここで若田部は今自分達が食べているそのロケ弁を見るのだった。丁度飯が半分程減っている。
「いつもこんなに豪勢じゃないですよね」
「酷い時にはパンと牛乳だけっていうのあったよな」
「麦飯なんてこともあったよ、これマジな話でね」
「麦飯ですか。そんなことまで」
「あの時なんかもう最初で予算使いきってね」
年配のスタッフがうんざりとした顔でその時のことを話してきた。
「何の意味もないのにここはこうするんだってエキストラの刀や衣装まで無駄に凝ってね」
「エキストラのをですか」
「そうだよ。しかもお城を序盤で派手に燃やして」
「はあ。序盤で」
「で、お金がなくなったんだよ」
そういうことなのであった。何でもそうだが限りがある。特に金というものはそうである。
「その結果ロケ弁はずっと麦飯でね。おかずはなくて」
「おかずもなしですか!?」
これには若田部も思わず声をあげてしまった。
「本当ですか、それって」
「本当だよ。もうあの時こっちも本気で怒ってね。連日連夜徹夜だったし」
「しかも徹夜でですか」
洒落にならない話であった。ここまで来ると最早労働基準法やそういった話になってくるものであった。
「あの人はいいさ。疲れ知らない人だから」
「けれど周りは違いますよね」
「そういうこと。おかげで倒れる人間が一杯出てね」
「でしょうね。やっぱり」
当然のことであった。人間には栄養と休憩が必要だからだ。この二
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