2部分:第二章
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かりませんか」
「一応御祓いに行くって話はしたさ」
「それで誘ったぞ」
彼等にしろ気は使ったのだ。しかしそれでもであったのだ。
「けれどああした人だからな」
「無駄だったな」
「まあわかっていたけれどな」
「来られなかったんですね」
若いスタッフにもこのことはわかった。ここまでの話の流れでそれがわからない筈がなかった。
「やっぱり」
「ああ、鼻で笑われた」
「神社へお供えする金があったら制作費に回すとまで言っていたよ」
「そういう問題じゃないだろうにな」
つまりはそうした人間であるということであった。実際高山は仕事はできるが予算の使い方やスケジュールの組み方は滅茶苦茶で異様に金のかかる作品ばかり作っていた。しかも現場にあれこれと口を出すし自分で何でもしようとするのでスタッフ達とはしょっちゅう衝突していた。演技にも口を出すのでとかく現場での評判は悪かった。かといって上に従うことも全くなかったのでトラブルメーカーそのものだったのだ。
「まあいいさ。俺達は誘ったし」
「責任は果たしたからな」
彼等も高山を嫌っていたので実に冷たいものであった。
「後はどうなろうとな」
「知ったことじゃない」
「どうなろうとですか」
若いスタッフは周りの言葉に同意していた。彼にしろ高山の仕事のあり方に疑問を持ち口出しを煩わしいと思っていたからだ。こうして彼等は御祓いを受けそのうえで撮影に挑んだ。とりあえず撮影は順調で高山にしては予算の編成もスケジュールの調整もやけにまともであった。
「何か今回順調だな」
「ああ、あれがいつも来ているのにな」
このことはスタッフ達の間でも話の種になっていた。彼等にしてもこの撮影の進展が順調なのは意外であったのだ。それで今このことを言い合っていた。
彼等は丁度ロケの間の休憩中で小屋に集まってロケ弁を食べていた。当然ながら高山はそこにはいない。彼は一人で同じロケ弁を食べていた。
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