days1.
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いやでも……」
青年はルイズとサテラの顔を交互に見た。
おそらく迷惑じゃないか悩んでいるのだろう。
「あ、どうぞ。上がって行って下さい。お礼もしたいですし」
にっこり、とまではいかないまでの愛想笑いを作り上がるように促した。ここで返してしまっては相手に悪い。
その意図を汲み取ったのか、青年はゆっくりとうなづいた。
「本当にありがとうございました」
「あ、いや……お構いなく……」
コーヒーを差し出され、青年は遠慮しながらも受け取った。ルイズが苦いのかと尋ねるのを優しく肯定している。
改めて見ると、不思議な青年である。ピアスの穴を耳に大量に開け、下手をすれば舌や唇にも開けているかもしれない。
「犬に吠えられてたんです。びっくりして転んだみたいで。そこに、俺が通りかかって」
「そうだったんですか。本当にありがとうござました」
「いや、でもすごいですね。転んだのに泣かなかったし。住所もちゃんと言えて」
そこまで褒めちぎられると、弟の事なのにまるで自分のことのように嬉しくなる。子煩悩とはこんな状態なのだろうか?
「それにしてもすごいですね。学校では優等生で、家事まで出来るなんて。少し意外でした」
「いえいえそんな……って、え、学校?」
聞き捨てならないその単語に、サテラは思わず身を乗り出した。
「え、だってブリジットさんですよね?」
「…あ、そうだけど、え、もしかして同じ学校??」
おかしい。これでも記憶力は良い方なはずだ。間違ってもこんなイケイケな感じの人はクラスにはいない。
「え、そうですよ。アオイです」
「あおい?」
「ええ。同じクラスの蒼井です」
頭の中の蒼井と、目の前にいる蒼井を比べてみる。
学校での蒼井は、よく言えば寡黙。悪く言えば無愛想な一年時からのクラスメイト。
目の前の蒼井は、それには似ても似つかない……こともない。よく見るとどこか面影が……
「え、ちょっ、え、エエエエエエエ????」
この日、秘密の共有者が出来た。
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