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英雄は誰がために立つ
Life17 再会の野良猫
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染まった赤い投擲型によく用いられる槍を投影した後にその場から瞬時に偉く後方まで離れた。
 そして、まるで地を這う獣の様な姿勢のまま朱き長槍を構えた。
 その場から駆けだしてから瞬動による助けもあって一気に高く跳躍する。
 そして今の士郎の姿勢は投擲のそれだった。

 「突き穿つ(ゲイ)――――」

 そしてその槍からは、禍々しいまでの赤いオーラが炎のように煌めきながら噴出していた。
 その様はまるで、敵と見做した万物の喉笛を噛みちぎらんとする猛獣の咢の如くに。

 「――――死翔の槍(ボルク)!!」

 士郎の手から放たれた長槍は、周りの大気から幾層も悲鳴を木霊させながら結界の中心位置と思われる部分に向かって行った。
 そして当然の如くど真ん中に命中した長槍は、結界を完全に破壊しながらもその下の地面を抉っていった。
 その光景を見ていたモードは実に愉快そうに笑っていた。

 「流石は今のオレのマスターだぜ」

 本当に愉快そうに笑っているのだった。


 −Interlude−


 『!!?』
 『!!?』

 突然の轟音に、その結界内に居た誰もが驚いていた。

 「何だぁ!!?」
 「結界が破られたわ!一体、誰が・・・・・・!?」

 自分の結界を破られた事にショックを感じていた黒歌の視界内に、轟音と共に大地を抉りクレーターを作った何かが降って来た。

 「槍・・・・・・?まさか、こんな槍で結界を壊したっていうの!?」
 「この槍はまさか・・・」
 「俺のだよ、小猫」

 小猫の思い当たる人物が、空から降って来た。

 「士郎、さん・・・」
 「士郎さん!」
 「士郎!」

 自分たちにとってある意味では誰よりも頼りになる存在が、まるで遅れてきたヒーローさながらのように登場してきたことに、士気を高める。

 「士郎かっ!?」

 そして、今では愛称を呼び捨てにするタンニーンも反応する。

 「アイツは・・・?」

 そして、マーブルマーダー――――幻想殺しの素顔を知らない美猴は怪訝な顔をして士郎を見やった。
 気の流れにより人間だと分かったが、何故ここに人間がいるとかどうかと言う無駄な考えをすぐに捨てた。
 自分の近くにも人間の身で強い奴がいるのもあるが、一誠達の士気の上がり具合から警戒を強めた方が良いと瞬時に判断出来るからだった。
 その一方で美猴とは別に黒歌は虚を突かれた、或いは放心状態になっていた。
 何故なら目の前の状況が、信じがたいモノだったからだ。

 (ご・・・・・・)

 「一誠、禁手化(バランス・ブレイク)出来たのか?タンニーンもいるし、こりゃ俺は要らなかったかな?」
 「そんな事ないですよ!」
 「そうよ!
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