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禁じられた舞台
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第一章

                  禁じられた舞台
 今打ち合わせの為に人が集まっている会議室は大荒れに荒れてしまっていた。喧々諤々という言葉では済まないような、最早怒鳴り合いになってしまっていた。
「だからあの作品は駄目だ!」
「何故駄目なんだ!」
 双方激しくぶつかり合う言葉であった。
「あの作品は名作だ!だから絶対にやるべきだ!」
「確かにあの作品は名作だ」
 一方もそれは認めた。
「だが。それでもあれを上演してはいけない」
「それは何故だ?」
「そっちもわかっていると思うがな」
 反対派はこう賛成派に言うのだった。よく見れば反対派は圧倒的多数であり賛成派は一人だ。賛成派が完全に孤立してしまっている形となっているがそれでも賛成派のその彼は強気の表情であった。
「何故駄目なのかは」
「ふん、ナンセンスだな」
 賛成派は舞台のプロデューサーであった。その為かなり強気であるらしい。自分以外の全ての人間で構成されている反対派を前にしても平然としていた。
「祟りを恐れているのか」
「その通りだ」
「他に何があるんだ?」
 見れば反対派には実に色々な人間がいた。監督もいれば演出担当もいるし主演の俳優に脚本家、その他の様々な主立ったスタッフが集まっている。つまりプロデューサー以外の全ての人間がいた。
「今まであの作品はそれなりに上演されてきた」
「その度に素晴らしい評価で客の入りもよかったな」
「それと共に常に何かが起こってきたな」
「そう、常にな」
 反対派は少し意地悪い様子になってプロデューサーに言ってきた。
「上演する劇場が火事になったこともあった」
「舞台が突然壊れて死人が出たこともあった」
「地震に遭ったこともあった」
 彼等は口々に言ってきた。
「実に様々な怪異があったな」
「しかもそれにより人が多く死んできているじゃないか」
「そんなものはただの伝説だ」
 プロデューサーは彼等の言葉をこう言って一笑に伏したのだった。
「ただのな。伝説だ」
「確かな証拠があってもか」
「偶然だ」
 また言い切るのだった。
「偶然が起こっているだけだ。祟りとかそういったものはこの世には存在しない」
「存在しない、か」
「そんなものは」
「そんなものは迷信だ。有り得ない」
 頑迷なまでに確信しているのがわかる言葉だった。
「絶対にな。だからだ」
「上演するのか」
「君達が嫌というのならいい」
 プロデューサーはこうも言った。
「私が主な仕事をしよう。それならいいな」
「どうしてもするというのだな」
「そんなに祟りが怖いのなら君達は御祓いでもしてもらえばいい」
 反対派の面々を馬鹿にしきった言葉であった。そういった御祓いといったものすら全く信じていないということがわ
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