第四十九話 辺境星域
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いささか不便です」
「……」
またリビングに沈黙が落ちた。だが嫌な沈黙じゃない。皆が目で探り合っている。
「統一した暁にはフェザーンに遷都をと考えています」
「……」
あれ、唸り声かどよめきが起きると思ったんだけど……。
「フェザーンに遷れば軍事的にはフェザーン回廊を直接押さえる事が出来ます。帝国領、旧同盟領のどちらにも兵を出し易い。そして経済の中心であるフェザーンを直接押さえるのです。フェザーンに腰を据え帝国領、旧同盟領を統治する。これ以上新たな帝国の都として相応しい場所は有りません。私が考えなくても他の誰かが同じ事を考えるでしょう」
あ、義父殿が大きく息を吐いた。溜息? それとも酸素不足か?
「そこまでで良い、良く分かった。オーディンが帝都で無くなればブラウンシュバイク星系は地の利を失う。それよりも辺境星域の方が得だ、そういう事だな」
「はい、当初は貧しいでしょうがいずれは辺境の方がブラウンシュバイク星系よりも発展しているでしょう」
リッテンハイム侯、そして政府閣僚にもこの話をする。そうすれば皆が辺境星域に拠点を持ちたがるはずだ。そうなれば辺境の貴族達は政府が本気で辺境を開発するつもりだと思うだろう。そして政府閣僚も辺境星域の開発に本腰を入れる。今は無理でも財政状況が好転すれば必ず力を入れる筈だ。後はどうやって同盟を、フェザーンを征服するかだ。
財政の健全化まで五年から十年か。ラインハルトの病気の問題が有るな。その辺りを気を付けないと……。出来るだけストレスを溜めさせない事だ。アンネローゼとも頻繁に会わせた方が良いだろうし戦争にも適当に行かせよう。捕虜交換が終ったら遠征軍の総司令官にして出兵させるか。まあ互角以上に戦って来る筈だ。
そうなれば宇宙艦隊の副将としての立場も強化されるしロイエンタール、ミッターマイヤー、ミュラーを正規艦隊司令官に抜擢出来る。ケスラーはそのまま参謀長にしておこう。ラインハルトの抑え役として必要だしラインハルトに別働隊を指揮させる時はそのまま別働隊の参謀長の役割を任せよう。ケスラーなら問題無くこなせる筈だ。少しずつだが形が整ってきたようだ。
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