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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第四十九話 辺境星域
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、一巡りした時点で計画の見直しをするつもりです」
「なるほど、四年後か」
義父殿が夫人と顔を見合わせて頷いている。気付いたか。

「援助の内容ですがどのようなものになるのです?」
「耕作機械の大量供与、灌漑施設の増設等ですよ、シュトライト少将。先ずは辺境星域の食料生産量を上げようと考えています」
というかそのくらいしか出来ない。発電所の建設や宇宙港の拡大には資金が足りないのだ。それでも食料の生産量が上がれば辺境の人間も喜ぶはずだ。飢える心配がなくなれば子作りにも励める。人口の増加にも役立つだろう。インフラ整備、医療や教育はその後だ。

「実は財務省、内務省の高級官僚達からブラウンシュバイク公爵家に辺境開発に参加して欲しいと内々に要望が出ています」
皆の視線が俺に集まった。不審、疑惑、疑義、拒絶、否定的な感情のこもった視線だ。気持ちは分かるけどね、もうちょっと柔らかい視線が欲しいな。コーヒーでも飲んで落ち着こうよ。

「如何いう事だ、エーリッヒ」
「大貴族にも開発に参加して欲しいという事です。政府だけでは辺境星域の信用を得られない。大貴族が開発に参加していれば辺境も安心するだろうと。いずれリッテンハイム侯爵家にも同じ話が有ると思います」
「……」
余り好意的な沈黙じゃないな。

「フレーゲルやゲルラッハは知っているのか、その話を」
「多分、知らないでしょう。現状では官僚達の間で出ている話だと思います、公にされている話では有りません。ですが内々にしろ打診してくるのです。官僚達の間ではそれなりに検討されている話なのでしょう」
義父殿が唸った。余り好意的な響きは無い。好き勝手な事を言うと思ったのだろう。ま、官僚達も相手が俺だから言ったのだと思う。相手が義父殿なら口を閉じただろう。

「具体的には辺境の貴族と協力してインフラの整備を行うか、或いは無人の惑星を当家だけで開発するか、そんなところでしょう。いずれにせよ何らかの形で辺境の開発に関与して欲しい、財務省も内務省もそう考えているようです」
義父殿が首を横に振りながら溜息を吐いた。皆も呆れた様な表情だ。フェルナーが“虫の良い話だ”と呟いた。

「それで、お前は如何したいと考えているのだ」
「入植可能な惑星を最低でも一つ、星系ごと頂こうかと考えています」
「本気か!」
義父殿が眼を剥いた。“閣下”、“公”、という声が上がった。諌める、いや咎める声だ。正気かと思っているのだろう。だが義父殿が手を上げて抑えた。

「お前はブラウンシュバイク公爵家の当主だ。お前が決めたと言うなら反対はせん。だが無人惑星を開発するとなれば容易ではないぞ。人の移住も含めて一から全てをやらねばならん。分かっているのか?」
「分かっています」
「それでもやるか」
「はい」
リビングの空
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