第四十九話 辺境星域
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て。これから帝国は変わるわ、ブラウンシュバイク公が変える。だから、ね?」
「……分かりました」
ラインハルト様が約束するとアンネローゼ様がホッとした様子を見せた。
確かに私もラインハルト様も気付いていなかった。自然だから変化に気付かない。だがアンネローゼ様に言われてみれば何時の間にか帝国の重臣として国政の中心にいる。アンネローゼ様が注意というのはそれを受け入れろという事だろう。ブラウンシュバイク公は既に軍人だけの存在ではない。国家の重臣、国政の中心に居るのだという事を……。
帝国暦488年 5月 30日 オーディン ブラウンシュバイク公爵邸 エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイク
「それで辺境の件は如何なっているのだ? 開発を進めると聞いているが」
「簡単にはいきません。なかなか面倒ですよ、義父上」
俺が答えると義父殿が“簡単にはいかぬか”と嘆息した。そして周囲にいる人間も頷いた。大公夫人、エリザベート、シュトライト、アンスバッハ、フェルナー、シェーンコップ。俺とエリザベートはココア、他はコーヒを楽しんでいる。
ブラウンシュバイク公爵家では俺が養子になってから最低でも半月に一度はこうしてリビングで近況報告のようなものを行っている。俺にブラウンシュバイク公爵家に早く慣れて貰おうと大公が提案した事がきっかけだ。それまではこういう話し合いの場がなかった事もあって結構評判は良い。特に大公夫人はエリザベートの教育にもなると御満悦だ。報告会の形式はフリートーキング、時間は最大二時間。それ以上になるときは一度休息を入れて行うと決めている。
最近ではリッテンハイム侯爵家でも同じ事を行っているらしい。大公夫人と侯爵夫人は姉妹だからな、そこから話が伝わったようだ。そのうち一度合同でという話も出ている。シェーンコップは今回で二回目だ。彼にとっては帝国の事を知る良い機会になっている、と思う。前回も面白そうに聞いていたから。
「しかし内務省、財務省は貴族の支援については積極的と聞いていますが」
「それはちょっと違います。内務省も財務省も積極的とは言えません。むしろ渋々と言った方が良いでしょう」
俺がアンスバッハの問いに答えると皆が訝しげな表情をした。どうやら皆の耳には政府が積極的に辺境星域の開発を行おうとしていると届いているらしい。
「貴族領、直轄領に拘らず一旦辺境星域の開発を始めればとんでもない費用が発生します。財務省、内務省の本音を言えばそんな事はしたくないんです。ですがこのまま放置すれば辺境の貴族はジリ貧でいずれは潰れるでしょう。そうなれば帝国政府が全てを背負う事になる。財務省、内務省はそれを恐れています。それくらいなら貴族達を何らかの形で援助した方が良い。それが本音です」
彼方此方から“ホウ”
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