第四十八話 薔薇の騎士
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ルヒアイス、如何思う」
「分かりません。改革に関係しているとは思いますが……」
「多分、辺境星域の事だと思うわ」
驚いてアンネローゼ様を見た。私だけじゃない、ラインハルト様もアンネローゼ様を見ている。アンネローゼ様は視線を受けて困った様な笑みを浮かべられた。
「何か御存じなのですか、姉上」
「ええ、少し。辺境は貧しいでしょう。このまま決算報告書と資産目録を来年から公表すれば辺境の貴族達はどうしても不利益を被りかねない。それで辺境、これは貴族だけではなく政府の直轄領も含むのだけど何らかの形で援助をと検討しているらしいの」
「なるほど、そういう事ですか。しかし何故ブラウンシュバイク公が?」
「提案者はブラウンシュバイク公よ」
辺境の貴族……。公はやはり貴族達を優遇しているのだろうか。気になってその事をアンネローゼ様に尋ねてみたがアンネローゼ様は首を横に振った。綺麗な金髪がサラサラと揺れる。
「そうじゃないわ、ジーク。辺境の貴族が潰れれば辺境の統治は政府が行う事になるでしょう。でもそれは政府にとって大きな負担になるらしいの。それよりは今辺境を治めている貴族を利用した方が効率が良いとブラウンシュバイク公は考えているみたいよ。そして財務省、内務省も同じ考えを持っている」
「なるほど、使えるものは何でも使え、そういう事ですか」
ラインハルト様がウンウンと頷くとアンネローゼ様が笑い出した。
「酷い事を言うのね、ラインハルト」
「でもそうでしょう?」
今度は皆で笑った。確かにラインハルト様の言うとおりだ。そして使えなければ潰すのだろう。大公の言うとおり、貴族も楽ではないなと思った。
「ですがアンネローゼ様、何故それ程お詳しいのです?」
またアンネローゼ様が困った様な表情をされた。
「私の資産管理をしている財務顧問は財務省の官僚なの。その人が教えてくれたのよ」
「そうですか」
ラインハルト様が心配そうな表情をした。信じられるのか、そう思ったのかもしれない。
「大丈夫よ、ラインハルト。信じても良いわ。内務省も財務省も改革を支持している。そして改革を推し進めているのがブラウンシュバイク公だということを理解している。分かるでしょう? 公と貴方が親しいから私を騙すようなことはしない」
「それなら良いのですが……」
ラインハルト様はまだ不安そうだ。それを見てアンネローゼ様が柔らかく笑みを浮かべた。
「今は政府、軍、ブラウンシュバイク公爵家、リッテンハイム侯爵家が一つにまとまっている。そして公は私達に好意的だから安全よ。私を利用するのはむしろ危険、意味は無いわ」
「確かにそうですね。ベーネミュンデ侯爵夫人の時も姉上の身に危険が迫ることは有りませんでした」
その通りだ。あの件はブラウンシュバイク公が動いたが私とライン
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