第7章 第5次イセルローン攻略戦へ 前哨戦 後編
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ラージュであるが。
私が担当した士官の名は
「マークス・フォン・シュナイダー大尉」
と本人は名乗った。
彼は最後まで敵宇宙空母のなかで抵抗を続けていた機関室の兵士たちを説得し、拿捕した艦艇の中では唯一の無血開城をやってくれた士官であった。
マークス大尉はワルキューレのパイロットで空戦飛行中隊長を務めていた。
私が何よりも彼について注目したのが彼の名字である。
「フォン・シュナイダー」
これはシュナイダー伯爵家出身のものしか名乗ることが許されない名字であり、私の名字はまさにこれだ。
彼には規定尋問が終わったのち、彼が入っている独房でシュナイダー家のことを根掘り葉掘りいろいろと聞いた。ちなみに、彼は私の祖父(見たこともあったこともないが)である、コンラート・フォン・シュナイダー帝国軍大将の3男(私の父は二男)のウォルフ・フォン・シュナイダー少将(宇宙歴782年 エントリッサ星域会戦で戦死。戦死後大将に昇進)の息子。つまり奇遇にも私の また従兄弟ということになる。
彼曰く
「エルビィン・フォン・シュナイダー准将が反逆罪をかけられたのは単純に彼の武勲が抜き出ていただけなんです。
それだけで、彼の士官学校同期で統帥本部人事課にいた将校が情報部と結託して彼は嵌められたのです。そのおかげで、シュナイダー家は廃絶になるところを皇帝フリードリヒ4世が止めに入り、廃絶しなかったんですね。
フリードリヒ4世の侍従武官付をしていたのが祖父だったっていうのがあったのと、その時にはエルビィン准将の疑いも晴れて、彼をはめた士官たちは一斉検挙、死刑になりました。」
と語ってくれた。
私は、彼に自分の本名を明かさなかったのになぜここまで根掘り葉掘り聞くのかと疑われたかもしれないが、そこは聞かれずに済んだ。
父のいまだにしれぬ本当の実像が徐々にわかってきたところであった。
しかし、彼も私の生き別れた兄のことは知らなかった。
それでも少し視界が開けたような気がした。
こうして、私の第5次イゼルローン要塞攻略戦の序章は幕を閉じた。
そして、イゼルローン回廊侵入。
完全に不意を突かれた帝国軍大慌てでがイゼルローン要塞から出撃してくる。
トールハンマーの射程外で同盟軍は完全な迎撃艦隊編成で迎え撃つ。
私は初めてイゼルローン要塞を見たとき暗闇に浮かぶ一つの美しい銀の球体にしか見えなかったが、どことなくため息が出るくらい美しかった。
我々、陸戦隊は出撃待機態勢でイゼルローンへの出撃を待ち構える。
先の実戦で勢いのついた我々はどこの部隊にも勝てる。と思っていた。
あんな、地獄を見るまでは。
敵駐留艦隊がトールハンマーの射程境界線少しと手前で迎撃態勢を整えようとしているが、同盟軍にそれを待っている義理はなかった。
シドニー・シトレ大将の右手が上がる。
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