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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第7章 第5次イセルローン攻略戦へ 前哨戦 後編 
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と、後方支援科を副専攻でとっていた我々にものすごく適当なことをやってのけたので、それを聞いたナセルは教官室に殴り込みに行き、士官学校の教務主任教官であった、チェン・ウー・チェン准将に
「直訴状」
を突き付けて、准将と5時間にも及ぶあまりにも静かすぎる審議でその少佐を停職処分に持ち込ませるなど、思いっきりの良さはあった。
しかし、戦技や艦隊運営は中の上くらいであった。
成績は後方支援科ではトップ。全体では何とか上の下までくらいついて卒業していたので、後方支援科ではシンクレア・セレブレッゼ中将、アレックス・キャゼルヌ大佐の後任になりうるのではないか、と後方支援科では期待をかけられた後方支援将校であった。
最初の任地は、いきなり第9方面軍の補給任務を担当する第9方面軍後方支援集団司令官(当時 マルクス・モートン少将)の副官であった。
第9方面軍はイゼルローン方面に面した方面軍のひとつで、最も後方支援業務では高度なレベルを扱うところであった。
このマルクス・モートン少将はシンクレア・セレブレッゼ中将の師匠ともいえる凄腕の後方支援士官であったが、士官学校を卒業しておらず自力でそこまで後方支援一筋で生きてきた生え抜きである。
しかし、赴任からわずか半年後。
前線の補給状況視察のためにイゼルローン要塞と最前線基地になっていたカッシート3−3にあった「V-33前進警戒基地」に帝国軍1個混成群が攻撃を仕掛けてきたのだ。
その基地には警戒基地である上に前進基地という簡易基地であったために駐留戦力も1個駆逐隊と1個ミサイル艇隊で構成された任務混成群が駐留しているだけであった。
もはや風前の灯と同盟軍からも思われていたときだった。
彼は天体観測が趣味で恒星であったカッシートが周期的に恒星表面上で大規模な爆発を起こすことを知っており、これを利用して敵の後背から迎撃する作戦を立案、司令部はこれを承認し、この任務群の司令であったマシュー・ベケット大佐はこれに賭けた。
作戦は結果として成功。
のちに、ヤン・ウェンリー元帥が中将 第13艦隊司令官であったときアムリツァ会戦でミッターマイヤー艦隊に行ったようにカッシートの表層爆発周期を測定、爆発と同時に水爆を投下、その爆発によるエネルギーで一気に敵の後背を付いて、3連斉射を行い、離脱。敵の10%に損害を与え、味方艦艇の損害ゼロでこれをやってのけたのであった。
これを注目した上層部とマシュー大佐の推薦で彼は第1艦隊に転属になり今回引き抜かれて「ケベック3号」の航宙長に任命されている。
強襲揚陸艦は隠匿航行を行って敵艦の死角に飛び込むので彼のようなユニークで、優秀で、注意深く、観察力に優れた航宙長がいるのはとてもありがたいことだ。

出撃待機命令発令からその命令が「出撃命令」に変わったのは私がケベック3号に
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