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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第7章 第5次イセルローン攻略戦へ 前哨戦 後編 
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 宇宙歴792年 4月21日 2100時 ハイネセン記念ダンスホール
ワルツの中で私の好きな曲「短くも美しく燃え」を踊る。
人類が地球にいた時からの名曲だ。
人は何時も戦争状態にあっても、明日死ぬかもしれないという時も愛する人とダンスをし、この名曲を踊る。
ダンスをしながらそんなことを考えていた。
ニコールがじっとこっちを見つめている。
「ねえ。どうしたの?
考え事?」
ニコールが話しかける。
私は
「なんでもない。
ただ…」
口ごもる
ニコールは
「ただ…」
私は
「不安なんだ。
俺はこの手で何人もの帝国人を殺してきた。それなのに、今こうして君とダンスをしている。
矛盾じゃないか?
いつ、死ぬかもしれないのにここで整然と生きている。
よくわからないんだ。」
ワルツの曲が終わった。
時刻は2130時
ニコールが
「いいのよ。この世の中は矛盾だらけじゃない。
でも、私はここにいてあなたもここにいる。それが重要なのよ。
私はあなたを愛してる。それで十分よ。
だから、私もあなたも次の出兵で生きて帰るのよ。」
トマホークで殴られたくらいの衝撃だった。
私は
「まさか…
イゼルローンに行くのか?」
ニコールは
「軍医士官学校の中で50名が自己推薦選抜で実戦部隊に配属されるの。
全員、繰り上げ昇進で准尉になるわ。
私、あなただけだけが生死をかけているのに耐えられないの。
衛生兵として戦ったのに、今はハイネセンで教科書と臨床をやってるだけ。
アルテミスの首飾りと2個艦隊もの首都防衛部隊に守られて。
だから戦いたいの。
ヘンシェルでは手も足も出ないひよこだった。
でも、今は違うの。もう十分に戦える。」
私は彼女の頬に手を当て
「君がそうしたいなら俺に止める理由はない。
ただ、必ず生きて生きて帰ってくる。
そう約束してくれ。」
ニコールは微笑みながら
「当然よ。あなたもね。」
と言って、私の口をふさぐ
私は
「配属先は?」
ニコールが
「第2艦隊旗艦パドロクロスの医務課外科班よ。」
第2艦隊は並行追撃作戦時の先鋒艦隊だ。
敵の反撃を最も受けやすい位置にいる。
しかし、そのことは彼女には言えないし、一般の人にも言えないことだ。
私はただ、がんばれよ と、しか彼女に言えなかった。

宇宙歴792年 4月30日
自由惑星同盟軍の4個艦隊はイゼルローン要塞攻略へ向けて出発した。
イゼルローン要塞までは時と場合にもよるが10日から最短でも7日はかかる。
その間わが中隊ではイゼルローン要塞の攻略の最終シュミレーションをおこなっていた。
ローゼンリッター連隊はイゼルローン要塞周辺の敵前進基地をたたく。
そのため、今回は小型強襲機による攻撃とパラシュート降下作戦の組み合
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