暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第127話 奪還。しかし……
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ない。
 そう考えを纏め、しかし、表面上は出来るだけ余裕たっぷりの雰囲気で答える俺。相手は自分の実力に自信があるようだから、俺が何を言おうと無視するだろう。そっちの方は今のトコロどうでも良い。

 この無暗矢鱈と自信過剰な振りは、俺に現在進行形でお姫様抱っこをされている浴衣の少女(ハルヒ)に妙な負担を掛けたくない為。確かに、ある程度の根拠の元に、眼前の犬神使いの青年に負けるとは考えられない、と感じているのは事実。
 但し、それを表に出すのは、普段の俺の対応とはかなり違う異常な態度。
 そもそもコイツ――ハルヒは今の自分が俺の弱点に成っている事に気付いている。そうかと言って、現状で俺から無理に離れたとしても彼女単独で犬神をどうにか出来ない事も感じているはず。
 ハルヒ自身が旅館の庭を埋め尽くす犬神の姿を見たかどうかは定かでなない。しかし、先ほど複数体の犬神を同時召喚した様を見た以上。更に、その犬神が自分を攫った男に対して怪我をさせたのは見ている。
 これで、呑気に自分を解放しろ、とは言えないでしょう。
 故に勝て、の台詞が出て来た。

 ……まぁ、逆説的に言うと、俺の事をその口振り以上には信用している、と言う事でもあると思うのですが。

「素人かどうかは実際に戦ってから判断しても遅くはない、と思うけどね!」


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