第6章 流されて異界
第127話 奪還。しかし……
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遮られる場所に立つ姿は……。
身長は俺より低い感じ。おそらく、百七十を超えるか、超えないかぐらいに見える。少し大きめのフード付きのスエット。色はおそらく灰。表情や顔の造作に関しては、フードを目深にかぶっているので詳しい事は分からないが、それでも男性にしては顎から首のラインは細く、そして色は白いように思う。ボトムに関しては幾つものポケットが付いた膝丈のワークパンツ。ただ、それをだらしなく少しずらした感じ……所謂腰パンと言う、かなり派手な下着が見えた状態で履いていた。
う〜む、真冬の深夜。それもほとんど人の手の入って居ない森の奥から顔を出して来たのが謎のヒップホップ系。これはかなり違和感を覚える。
そう考えながら、ゆっくりと自然な雰囲気で道路の真ん中へと立つ俺。
それに、現状ではどうでも良い事なのですが、黒のブイネックのセーターの襟元から覗くのは白のシャツ。ボトムはスリムタイプのジーンズと言う俺とは、どう考えても正反対の服装のセンス。少なくとも、見た目の足の長さから言わせて貰うのなら、コイツはどう考えても俺の半分しかないぞ、……と言う短さのように思える。
もっとも、元々膝丈のズボンをわざわざずらして履いているのだから、見た目が短足に見えたとしても仕方がない……とは思うのだが。
ただ、見た目重視のこの出で立ちでは非常に動き難いとも思うのですけど……。
「流石に土の中を走って居るヤツをどうにかする方法がなかったからな」
片側二車線と言う、地方の道路としてはかなり広い部類の舗装道路。その真ん中で人工の光と、そしてふたりの女神の光を全身に浴びながら、昏き闇の領域と人工の光の境界線上に立つ青年に対して話し掛ける俺。
当然、あまり友好的とは思えない第一印象を表面上で感じさせる事はなかった……と思う。
現在の立ち位置と、その出で立ちは違うふたり。但し、本来の立ち位置は僅かな違いでしかないふたり。
俺は僅かに光の側に。
そしてヤツはおそらく僅かに闇の側に。
「初めまして、で良いのかな、蘇芳優さん」
何か、妙に獣臭……いや、犬臭いヤツのような気がしないでもないが……。
ただ、四年前に大学生なら間違いなく自らよりも年長。一応、そう考えて多少は礼儀正しい態度で話し掛ける俺。もっとも、この眼前の青年から感じている気配は生者……人間のソレではなく、明らかに人外のソレ。
自殺者の魂の宿った何か、……と考えられるほど、この目の前の存在の纏った陰気が大きな物である事は間違いない。
未だハルヒをその胸に抱きながら、下草をかき分け、舗装された道路へと出て来る青年を見つめ続ける俺。
しかし――
「人に名前を尋ねる時は、先ずは自分が名乗るのが先じゃなかったかな」
完全に光が支
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