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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十五話 集う者たち
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しされたことに驚いたのか、それとも兄に異名があったことに驚いたのか、ヴィヴィオが飛び上がる。
ほかのちびっこたちも一様に驚愕の表情を顔に張り付かせていた。

「なんだ、そいつ彼奴の妹なのか?」
「あぁ、ヴィヴィオっつーんだ。兄貴と同じで近接格闘戦技(ストライクアーツ)使いなんだぜ?」
「ほう、白翼の妹か」
「それは……凄い人がお兄さんだねヴィヴィオちゃん」
「すご、い……?」
驚いたような、褒めるような、どこか尊敬するような言葉でヴィヴィオに彼らはクラナのことを話すが、正直なところ、彼女にはクラナがこのIMという環境の中でどんな人物なのか、想像もつかなかった。だから……問う。

「あ、あの!お兄ちゃんは……どういう選手、なんですか?」
「え?」
「なんだ嬢ちゃん、有名人が兄貴なのに知らねえのか?白翼、とかホワイト・ウィングっつったら、ちょっとかじったファンの連中の中でもそれだけで通じるくらいにゃ有名なんだぜ?」
「あー、いやその子は……」
「?」
説明して良いものかと口ごもるライノに、スルトが余計に首を傾げた。奇妙な沈黙が場を支配する中……。

「やっぱり、きっかけは……五年前、かな」
口火を切ったのは、セイルだった。

「当時、僕はまだ十一歳で、IMでも予選落ちの力の無い選手だったんだけどそんな中で……一人、とびぬけて強い、一歳年下の男の子が居たんだそれが……クラナ・ディリフス。君のお兄さんだった」
「あぁ、ありゃ凄かったぜ。気合とド根性、あの加速っつー魔法と、何よりずば抜けたセンスで、彼奴あっという間に予選を抜けて、都市本戦、挙句世界代表戦まで勝ち上がりやがった。飛んでもねぇ化け物が出てきたと、あの時ゃみんながそう思ったもんさ」
セイルとスルトが、懐かしむようにうなづきながら話す。補足するように、シュウが口を開いた。

「当時IMの男子の部は、今よりもさらに荒っぽい連中が多くてな。戦技としては現在のほうがはるかに洗練されているが、子供が勝ち上がるような環境では無かった。都市本戦の突破者も、それまで17歳より下の者はいなかったからな。メンタルが大きく物を言うその時代で、彼は初出場にしてその快挙を成し遂げたんだ」
「……そうして名付けられたのが、白翼。その翼で、飛び上がるように上り詰めて行ったって、軽い伝説」
「伝、説……」
あまりに大きな話に、身内に話であるという実感がわかない。というのが素直なところだった。そこへ、メガネを軽く上げて、シュウが続ける。

「まぁ、伝説のような扱いの理由は、それだけではない。その翌年、前回惜しくも逃した世界代表戦優勝を目指して出場してきた白翼は、その年のテロ事件の影響もあって遅れに遅れた都市本戦の準決勝を、欠場辞退して不戦敗となり……以降四年間、完全に公式戦の舞台から
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