言の葉の不足分
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い返された事もある。最近はお前らもこっちにちょっかい掛けて来てるし、汗臭いおっさんが何回か攻めても来たにゃ。
どっちかが強かったら終わる話なのに今の今まで掛かってるんだにゃ。だから美以はお前らと仲良くしにゃい。
お前らの箱に閉じ込められることを美以達は望んでにゃいんだから。それに……」
犬歯を見せて笑った南蛮大王は、愛紗達に向けて虎を幻視させるような殺気を放った。
「美以達の縄張りに何回も無断で入った奴等を許すわけにはいかないのにゃ。お前らの話はもう飽きた。和睦とか仲良くとか言うくせに、それならどうして武器を持って此処に来た?
殺すつもりが無ければ武器なんて持たない。美以達でも狩りをする時くらいしか武器は持たない。お前らは嘘つきなのにゃ。ケモノは牙と爪を外せないけど、お前らは武器を外せるはず。だからお前らみたいなの……美以は大嫌いなのにゃ」
そうだそうだー、と真剣な話をしているはずなのに飛んでくる可愛らしい罵倒の声。
周りの少女達からやいのやいのと言われて真剣になり切れない空気。孟獲達は真剣そのモノであるが……愛紗達はやりにくいことこの上なく。
たじろぐ兵士達は何も言えない。言えるはずも無い。愛紗達が代表であり、応えるべきは将である彼女達なのだから。
――……子供の思考だからこそ我らを滅ぼすに値する。真っ直ぐに突きつけられる言の葉は間違いなく正論だ。朱里や藍々が居てもこの論は崩せんな。いや、理で追い詰めれば逆上させるだけ。
矛盾を突かれて論舌では完全に敗北を喫したと言ってもいい。変に落ち着いている星は“楽しそうに”孟獲の話を吟味していた。
いつかは突かれる矛盾だ。劉備軍に向けられる弾劾の声は必ずある。それを分かっていて尚踏み越え進むを決めた桃香や愛紗、朱里達がどう返すのか、星は気になっていたから何も言わない。
咄嗟に返せなかったのは愛紗。兵士達も動揺している様を見るに迷ってしまったらしい。
ただ、思わぬ所から反論が上がった。
「何言ってるのだ? 人は弱いから武器を持つのは当たり前なのだ。こんな森で虎にあって武器が無かったら食べられるだけ、そんなことも分からないのかー?
お前だっていきなり殺しに来たし、武器が無かったら死んでたのだ」
変なことを聞くなー、と首を捻った鈴々を見て一寸固まり、直ぐに星は噴き出した。
ああそうか、と思いつつ鈴々に対する評価が上がる。
――単純な答えを見つけられるのは鈴々の返しはストンと胸に入ってくる。大の大人が言っても上から目線に聴こえるが……鈴々が言うのは当たり前の事柄。下手に軍関係にばかり捕らわれているとそんなことさえ見落としてしまう、か。まだまだだな、私も。
軍師達なら論理的な思考で丸め込もうとしただろう。それでは意味が無
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