言の葉の不足分
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のも気にせず語る様は明らかにおかしい。だが、愛紗と鈴々が臨戦態勢を解いた事で南蛮の兵士達にも困惑が走った。
孟獲も同じく、怒って斬りかかってくるとばかり思っていたのにこの対応である。不思議そうに二人を交互にみやっていた。
ほう、と感嘆を零した星は任せるつもりのようで口をはさむことは無く、自分が名乗りを上げないことで孟獲を試している。
――鈴々が警戒を解いたのは年齢が近しく見えるから、か。突き刺すような殺気や敵意は確かにないが……まだ友好を示すには早い。
とりあえずは様子見、と槍を下げた星が一歩下がった。劉備軍最古参である二人にまずは任せてみようと。油断はせず、僅かに自分の隊の兵士に目くばせだけして。
そんな星の思惑には気付いていないらしく、孟獲は名乗った二人を交互に見やる。
「……確かに美以が孟獲にゃ。
でも、和睦の使者なんてもう聞き飽きたのにゃ。美以達はお前達と仲良くするつもりなんかない。大人しく荷物を置いて逃げるならそのまま帰してやってもいいじょ。軍が持ってるモノなんて不味いのは分かり切ってるけどにゃぁ」
ふふん、と腰に手を当てて威張る仕草が可愛らしい。
小さな少女ではそのまま帰してやってもいいなどと口にしても誰もが苦笑と共に流してしまうだろう。
むっとした鈴々とは対照的に、星は口元をにやけさせながらも警戒の為に気を張った。愛紗は変わらず、ただじっと少女と視線を合わせて表情一つ変えない。
なんとも可笑しな空間ではあったが、この場の危うさを理解しているのは星と愛紗だけ。
兵士達は見た目少女の集団に囲まれているからか普段の戦場よりも緊迫感が抜けている。先ほど南蛮大王の少女が、彼らが太刀打ちできない武将三人を“防御させた”というのに、である。
「何故、そうおっしゃられるのかお聞きしても?」
堅い口調のままで尋ねた愛紗に、孟獲は呆れた様子で手をふる。そんなことも分からないのか、といいたげに。
「あーんな狭い箱に閉じこもってる人間達なんかと仲良く出来るはずないにゃぁ。
目の前のモノを好きに食べる自由もにゃい。飢えている誰かに分け合うような心の余裕も持てにゃい。他人の目を気にして言いたい事も言えにゃい。強い奴が弱い奴を守らにゃい……んでおいしいモノを自分達だけで食べてばっかり。
そんなくっだらない人間たちと仲良くしたいなんて思うわけにゃいだろー?」
やれやれとため息が一つ。
見下しの視線に込められているのは無関心という名の刃に等しい。彼女は南蛮以外の人間に呆れ果てていた。
「森では弱い者は食べられるのが当然、でも美以はこいつらが好きだから食べさせたくにゃい。昔々からお前らの国は美以達の国にちょっかい掛けてきてたのも知ってるし、こっちはお前らの国に仕返しに行って追
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