第3章 リーザス陥落
第60話 森に住む少女
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〜迷子の森〜
現在の時刻では、まだ日は真上に昇っている。……が、それでもこの森は薄暗く見通しもきかない。一歩踏み込めば、似たような景色が周囲に広がり、数分歩くだけで 来た道も判らなくなってしまう。
《迷子》と言う名前となった理由にここも恐らくあるだろう。ちゃんと準備をしてこないと、迷う確率が……と言うより間違いなく迷うだろう。更に、磁場も乱れている様で、コンパスも使えないのだ。
「おい、シィル! ここは何処だ?」
「はい、ランス様。ここは迷子の森です」
「馬鹿者! そんな事は判りきっているわ! その森のどの辺だ! と訊いてるのだ!!」
「ひんひん……、わ、判りません……」
と言う やり取りがある様に、ランスだけだったら迷子になる可能性が高い。
シィルもしっかりしているが、無理矢理連れてこられたから、そこまでの準備は出来てないし、臨機応変に対応するのにも限界はある。
「はぁ、私が マッピングしてるからある程度は判ってるわ。シィルちゃんを苛めないで私に聞いて」
かなみは、ここに入ってからずっと自身が携帯している巻物に記入をしながら歩いていたのだ。確かに同じ様な景色が続いている森だが、かなみは観察眼が養われている為、僅かな差異も見逃さず記入していく。
「助かるわ。ありがとう、かなみ」
「う、うんっ。私 忍者だし。これくらいはね?」
てへへ……と頭を掻きながら照れくさそうに頬を赤らめるかなみ。そんなかなみを見て、自然と笑顔になる志津香。……とそんな時。
「がははは! へっぽこ忍者も少しは成長したようだな?」
当然の如く、息を吐く様に 毒を吐くランス。
そして、観察眼は養われているけど、そっちの耐性は養われていないかなみはと言うと……。
「もうっ うるさいわねっ! いつまでもネチネチとっ!」
と、なってしまうのだ。
志津香は、ガキね……と、ランスに呆れており、シィルもランスを抑える様にしていた。
「やれやれ……。結構この辺りのモンスターは強い筈なんだけどなぁ?」
ミリは当初こそはニヤニヤと笑っていたが、連戦に次ぐ連戦。モンスターとの戦いが続いて、疲労が見え出してきていた。そんな中でも、いつもの調子を崩さない皆を見て、苦笑いをしていたのだ。……いつもの自分なら、きっとあの中に混ざっている筈だ。
そう、いつもの自分なら。
そんな彼女に、ユーリは近づく。
「ミリ」
ユーリが声をかけたその瞬間、ミリは手を上げた。
「おおっと、大丈夫だよユーリ。ユーリは心配し過ぎなんだよ。この程度でオレがへばる訳ないだろう?」
ユーリの出鼻を挫く様にミリはそういった。……幸いにも、会話を聞いていたのは2人だけ。いや、ユーリが意図して
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