宇宙編
グラフィー占領編
第1話 グラフィー占領
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1:グラフィー占領
宇宙世紀0079年、人類が初めて経験したジオン公国と地球連邦軍による宇宙戦争は、モビルスーツという兵器と、地球に住む人々と宇宙に住む人々の確執を残し終結した。
その後のグリプス戦役では、宇宙に進出し、ずば抜けた空間把握能力とテレパシーにも似た能力をもつ"ニュータイプ"(NT)の戦争利用と言う戦略が確立された。
それから4年の刻を経て、新たな戦火が宇宙の果てで初まった。
ーグワンバン級戦艦ー
「フーバー!」
不意にかけられた黄色い声が耳を打つ。
「アイラ、なんだ?」
「なんだはないでしょう??あそこでEパックを渡さなきゃフーバー危なかったよ!」
「ああ、ありがと」
わざと素っ気なく返した。
「ありがとって...」
「やっぱ宇宙はいいよな、自分の思ったとおりに機体が動く」
飛び跳ねる彼女が少々鬱陶しくもありつつ、宇宙食のチューブを握りしめる。
「そうだね、けど戦争をしてるんだって思うと少し怖いな。みんなが平和に暮らしていければ…」
そこまで言ったところで、第一種戦闘配置の警報が鳴った。
「敵襲!敵襲!第4部隊はMSデッキに急げ!」
「なに?アイラ、話は後!またな!」
床を蹴り上げて無重力を滑る。
「ちょ!...もどってきてね!」
あえて答えなかった。自信がないわけじゃない。けど、答えない。
MSデッキで出撃の準備をしているグラン・デンバウアー大尉に話しかける。
「敵は??」
「一機だ、機影は一つ」
いつも通り変わらぬ口調。
「一機で...」
「しかし、油断はできん。マリー中尉!」
既にコックピットに収まっている中尉。
「あいよ!ガザDで出る!」
彼女も頼もしいベテランの一人だ。
「俺はガ・ゾウムで、フーバーはゲルググで出るぞ!」
「了解です!」
旧公国軍の量産MS、ゲルググ。
大きな盾と細身のビームライフル。
丸みを帯びたフォルムは見ていて飽きることない…なんてことを考えながらコックピットに入る。体を支えるシートが沈み、宙を漂うストラップを目で追う。
「ったく、こう出撃続きじゃあ、身がもたないね。マリー・トルゥーエ、出るぞ!」
スクランブルの合図とともに紫の巨人は星の海へ飛び出す。
「グラン・デンバウアー、出る!」
スラスターの光が前を照らす。
最初は怖かった黒い宇宙も、今ではまるで庭の様だ。ここなら何もかもが自由。
「フランクリン・フーバー、出ます!」
宇宙で、新たな血が流れようとしていた...
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