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妖精の守護者 〜the Guardian of fairy〜
妖精剣
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に硬い結晶となる。
その結晶は、妖精の魂そのもの。それで作られた武具は、持ち主を永遠に守ると言われている。
俺は今一度あの気味の悪い剣を見つめた。柄の紋章が赤々と反応を示している。
ぞっとした。妖精の命? 生きている……のか? 剣が?
ハゲは剣を無造作に掴み上げるとそれを引き抜こうとした、がまるで何かに押さえつけられたかのように全身をだらりと下げ、剣を落とした。体中は汗でびっしょりだった。
「……わかるか? こいつはもうお前を主と認めている。なぜだか知らんがお前は、女神アスタリアに見初められたんだ」
「ふ、ふざけんじゃねぇ……俺はただのゴーレムだ!」
「ふざけてるんじゃねぇよ。本当のことだ。いいか? その剣は、聖剣、なんて物じゃねぇ。お前を薄々感じていると思うが、その気味の悪さは本物だ。妖精石は災いを呼ぶ呪いの石でもある」
「はぁ? んだよそれ…………そんなもんどうすれば!」
「落ち着け! そいつは持ち主の心に反応するんだ。心を静めろ、深呼吸だ。正しい心で剣に語りかけてみろ」
なんというむちゃぶり! この状況でどうやって冷静になれと!? ところで俺をこんな目に合わせているのがハゲだということに気が付いているだろうか? 本当になんて野郎だ!
まぁいい……とりあえず平常心だ。釣りをしているときみたいに……心を無にして、ただ獲物を待つ。
「できるじゃねぇか。思ったより集中力はあるみてぇだな」
偉そうに頭をつるりと撫でるハゲ頭。剣は青色に戻り、静かな光を称えている。気味の悪さもなくなった。それと同時に森のざわめきも止んだ気がした。
「いいか? シャルロッテちゃんがこれをおめぇに与えたってことは、全幅の信頼を置いてのことだ。ここでのことは見なかったことにしてやる。だから、二度と彼女たちを裏切るようなことはするな」
「…………どいつもこいつも、裏切るだの、信頼するだの…………うぜぇんだよ」
「なんだと、てめぇ…………」
「そんな言葉に意味なんてねぇんだよ。生き残るために何が最善で、どれを選択すれば己が有利になるか……生き残った者が勝者となる弱肉強食の世界……それが真理だ」
そうだ。弱い奴はずっと弱いまま、死ぬまで搾取され続ける。俺のように、何の才能もなく平凡で、無知な奴は簡単に騙されて奪われるんだ。
だからこそ、考える。自分のために、自分が勝者となるためにはどうすればいいのか。
明日、死ぬとも知れない世界を、生き残るためには……。
…………いや、何を熱くなっている?
「確かに……お前の言っていることは間違っちゃいない。弱い奴は奪われる。強い奴は勝つ。そんなことは当たり前のことだ。だがな、ゼス、俺は悲しいよ。そいつぁ、まるで帝国人みたいじゃないか」
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