三話:魔導士殺しのエミヤ
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い気持ちだ。
「それでも、大きな戦争は無くなっているわ」
「そうだね。でも流血は絶えない。人間の本質は石器時代から一歩も進んじゃいない」
「……やっぱり貴方は優し過ぎる程に優しいのね」
普通の人間であれば大きな戦争でもなければ違う国・世界で誰が傷つこうが気にも留めない。
しかし、切嗣は優し過ぎた。誰かが傷つく世界の残酷さが許せない。
だから誰よりも冷酷になって世界に立ち向かおうとした。
「世界が変わっても争いがなくならないのなら僕のやる事はあの頃と変わらない」
「……引き返す道があってもかね?」
「もう遅すぎる。より多くの人間の平和の為に小数を殺していくだけさ」
熱意もなければ信念もない。
そんな目をしているのにも関わらず切嗣は真っ直ぐに歩き続ける。
自分が彼女を殺さなかったから犠牲になってしまった人達の為に。
「それが次元世界のあらゆる紛争地に現れ強力な魔導士を殺し尽していった
『魔導士殺しのエミヤ』の本質なのかね……」
「偶々敵の頭や、主戦力が魔導士だっただけさ。まあ、こっちとしては殺しやすくて楽だったけどね」
グレアムの『魔導士殺しのエミヤ』という言葉に少し眉を顰める。
切嗣自身はそのように名乗ったつもりはない。
本人としては殺すことで犠牲が減る人物であれば分け隔てなく殺しているのだから。
だだ、ターゲットを殺す際には余計な障害を減らすために敵側に雇われるように打診をすることが多かったのでこの名前はそれなりに役立った。
「それとこれは私の推測なのだが。管理局の警告を無視して危険なロストロギアを所持している人物が不審死する事件が相次いだ時期があるのだが……これも君だと思うのだが、どうかね?」
「危険なロストロギアを放置すればあの時の二の舞になるからね」
何でもないように肯定する切嗣にグレアムはため息をつく。
そもそも闇の書の件で接触してきた時点で見当はついていた。
表には出さないがあの件以来ロストロギアに関して思うところはあるのだろう。
だが、本当に気になっているのはそこではない。
(彼が奪ったと思われるロストロギアがなぜ管理局にあるのだ?)
不審死を確認された後に管理局が回収した物は構わない。
しかし、殺害と同時に奪われたはずのロストロギアまで管理局が所持しているのはどういうことだ。
記録には不当な取引を差し押さえたと書かれているがその事件の担当にそれとなく聞いても知らないと答えるのだ。
そもそも、広大な次元世界を後ろ盾もなしに本当に活動できるのか?
「ふぅ、随分と関係のない話をしてしまったね。時間は有限だ。今から予想される展開について作戦を練っておこう」
「ああ……そうしよう」
余計な思考が頭を占める
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