三話:魔導士殺しのエミヤ
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くて。
気づけば変わった服装の高齢の男性と猫耳を生やした二人の女性が目の前に居た。
―――助けてくれ。男は三人の不自然さなど気にも留めずに助けを求めた。
それが自分ではなく少女を助けてくれと言っているのだと三人は気づかなかった。
だからその為に来たなどと軽々しく口にしてしまった。
女性二人はすぐさま村に向かい魔法の力を使い亡者を殲滅していった。
驚く男に高齢の男性は端的に説明した。自分達は魔導士と呼ばれる存在であると。
そして今回の事件はロストロギアと呼ばれる古代遺産の引き起こしたものであると。
人を操り血肉を貪る怪物に変える存在。
吸血鬼やグールの伝承などはそれが元になったものだろうと語られるがそんなことはどうでもよかった。
ただ少女が助かるのかと、村人が助かるのかと問う。
男性はその問いに悲し気に首を振るだけだった。
亡者になったものは既に死んでおり、元に戻しても生き返ることは無い。
探せばあるかもしれないが放置すればいたずらに被害は広がるだけなのだと。
男は黙って聞いていたがやがて立ち上がり止める声も聞かずに村の方へと歩いていく。
全ての光を失った目のまま。
男はただ機械のように淡々と亡者になった者達を始末していった。
己が逃げたがために犠牲になってしまった者達を。
表面上は無感情に。内心では懺悔の涙を流しながら。
ただひたすらに殺していく。女性達が恐怖の眼差しで見てくるのも気づかずに。
そして、男は目にする。先に女性達に敗れ事切れた少女を。
―――ごめんね。君を殺してあげられなくて。
男の瞳から己の意思とは全く関係のない涙が零れ落ちていくのだった。
――全てを救おうとした愚かさの代償は全てを失うことだった――
「初めて君と会った日に私はこの悲劇を繰り返さないように管理局に入るように勧めた。魔法があればより多くの人を救うことが可能だとうそぶいた。あのままでは君が壊れてしまうと判断したから」
「ああ、事実僕はあのままなら壊れていただろう。その点ではあなたに感謝している」
「……だが、君は気づいた。魔法は万能でないと、結局正義で救えない人間はいるのだと」
「そうだ。だから僕は管理局をやめて必要悪となった。この件に関しては迷惑をかけたね」
あの日里帰りで地球に帰っていたグレアムが駆けつけることができたのは切嗣にとって幸運だったのか不運だったのか。それは誰にも分からない。
管理外世界とはいえグレアムや切嗣のようにリンカーコアを持った人間は存在する。
そして、過去にも存在した。歴史上の偉人などは多くがリンカーコアを保持していたのではないかとグレアムは考えている。
とにかく管理外世界とはいえそう
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