暁 〜小説投稿サイト〜
ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
覚悟こそ最強の矛
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と、全員明らかに以前までと態度の違うユウキ()のことは気づいてはいた。だがあえて指摘しようとは思わなかった。
 中身は全く変わっていなかったから。
 勝負における立ち振る舞いや指示の出し方は何処か初々しく感じはするものの、彼のポケモンに対する愛情は微塵も変わってはいなかった。
 故に、キノガッサの主君への忠誠心に揺るぎはない。

【守れなかった】

 ただ、先ほどのゲンガーに敗北した一件はユウキの想像以上に彼を苦しめていた。主人を守るというポケモンの使命を全う出来ず、時間稼ぎもままならないまま敵の前で地に伏した。
 それは彼にとって……いや、
 ユウキのポケモンである(・・・・・・・・)彼にとって、
 何者にも代え難い恥として刻み込まれた。
 キノガッサはユウキのポケモンであるということに誇りを持っていたからだ。そのユウキが信頼してくれているというのに、自分はその期待に答えられなかった。

 だからこそ。

 彼は奮起する。
 今、この場で、
 結果を残そうと。

 既に身体はボロボロ。持ち前の根性のみで地に足をつけている……といっても過言ではないくらいには疲弊している。ゲンガーから受けたダメージは深刻だった。
 キノガッサも自分の耐久力が無いことは自覚していた。ユウキのお陰で頂点(レベル100)の高みには上り詰めているが、それまで。それ以上に種族としてキノガッサは脆弱であるからだ。仲間内からは兄貴だなんだと言われてはいるものの、彼の本質は騎士道。矛となり盾となり主人を守護することがモットーのキノガッサにとって、紙装甲は致命的であった。
 ではどうするか。
 ただ彼が取る行動は昔からずっと同じ。彼がまだキノココの時からそれは変わらない。

 あの時の《覚悟》は今でもキノガッサの中に根付いていた。
 あれはえんとつやまでマグマ団と戦った時のこと。





「その装置を止めろ!」

 怒声が轟く。声の主であるユウキに気づき振り向いた男は大仰に手を広げて返す。

「無理な相談だ。この《いんせき》を手に入れ装置を形作るのにどれだけの手間がかかったと思っている」

 赤髪に黒が入った赤を基調とした服という、何とも赤づくめなその男の名はマツブサ。陸を広げ、人間とポケモンの発展を願う悪の組織『マグマ団』のリーダーだ。

「ここ最近活動を邪魔する子供がいると報告はあったが、それがお前か。陸を広げるという我々の崇高な目的を妨げようとは……。我々の邪魔をするとどうなるか、マグマ団首領としてわからせてやる必要があるな」

 この世界では野良のポケモンバトルにルールなんてあって無いようなものだ。それも悪の組織との戦いとなれば公式ルールなんて構っている暇は無い。
 つまり、

「ゆけ!
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