プロローグ
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改札を通った三十代半ば程の男は額の汗を白いジャケットの袖でぬぐい、会うべき人―――正確には魔人だが―――を探し始めた。
待ち合わせる改札は間違っていないが、辺りに男と同じように待ち合わせをしている大勢の人々を見て待ち合わせ場所を間違えたか、と軽く後悔する。
相手はとても目立つ容姿をしているから、休憩場所にちょうどいい行きつけの喫茶店から一番近い改札口を選んだが、よく考えればあの低身長をこの人混みの中で見つけるのは一苦労だ。
らしくないミスをしたな、とため息をつく。
学生時代、とくに生徒会長として魔人の巣窟のような母校で奮闘していた高校生時代なら、こんなことにも頭が回っただろうな、とふと思う。
そんな昔を懐かしんでいた時に丁度待ち人が声をかけてきた。
「見つけたぞ。ド正義」
その声を聞いた男、ド正義卓也は辺りを360度見回したあと、下を向いて声の主を見つけた。
「おお、そこにいたか。邪賢王」
相変わらず変わらないな、と会うたびに言うおきまりの台詞を言って、ド正義は少し笑った。
ド正義と同い年だとは微塵も思えない、ピンク髪の美少女―――もう少女なんて歳ではないが―――邪賢王ヒロシマがド正義を見上げていた。
◆
ド正義と邪賢王は行きつけの喫茶店に入り、それぞれ飲み物を注文して雑談を始めていた。
「よくあの人混みで僕がわかったな」
「今どきバカ真面目に背筋を伸ばしておる奴なんかそうそうおらんわい。その歳で白いジャケットなんか着るのもお前以外に知らん」
と、笑って答える邪賢王。その容姿は高校生時代と何ら変わっていない。豊かなピンクの髪は艶を失わず、白い肌にシミや皺は見られない。既婚者で一児の母だと誰が信じるだろうか。
ド正義も同年代の中では若く見える方だが、邪賢王のそれは次元が違う。
『希望崎の伝説のロリ番長』の名に相応しいロリババアっ振りだった。
「お前を見てると懐かしくなるな。あの頃のまま時間が止まってるんじゃないかと思うよ」
「それはお前だけじゃ。こっちは結婚してから段々忙しくなるばかりじゃ」
「ハハハ。すまんすまん」
「まあ懐かしいのは確かじゃがの」
それから二人はしばらく、昔を懐かしむように学生時代のことを語り合う。
「姦崎にはほんとに悪いことをしたの」
「ああ。見た目が触手だから何回か超高潔速攻裁判で殺しかけたな。まさか純愛主義者だったとは思わなんだ」
「まあでも姦崎のお陰でわしらは出会えたしの。それに姦崎は無事に純愛していい嫁さん貰うたわけだし」
と、番長グループ一番の苦労人だった触手魔人、姦崎姦のことで盛り上がったり。
「転校生はヤバかったな。勝てたのは奇跡だった」
「あれは肝が冷えたわ
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