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おかしい
2部分:第二章
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見つかったとされた。それは何処にでもいるごく普通の生徒だった。彼等の中にいるだけの。
「あいつだ」
「あいつだ」
 彼等は彼を指差して言う。
「あいつがおかしい」
「あいつしかいない」
 やはり夢遊病者の顔で言うのだった。
「あいつが全て悪い」
「あいつがおかしいんだ」
 何を根拠にするでもなくこう言って動き遂には。彼を捕らえ教室でリンチをはじめたのだった。
「おかしな奴を消せ」
「この世からいなくなれ」
 リンチは最初数人がはじめたがやがてそれは一人増え二人増え遂にはクラス全員のものとなった。そのリンチに隣のクラスの担任が気付いた時には最早大変なことになっていた。
「離せ!」
「御前等は関係ない!」
 彼等は取り押さえられても虚ろな目で叫ぶのだった。
「おかしな奴がいる」
「おかしな奴を消すんだ」
 こう言ってまだ動こうとするのだ。そしてリンチを続けようとする。
「消せ」
「粛清だ」
 遂にはこうした言葉まで出て来た。
「世界を乱す者は消せ」
「粛清だ」
「抹殺しろ」
 こう口々に言ってまだ動こうとした。しかしそれは何とか数を使って押さえリンチは止められた。犠牲になった少年は重傷を負っていた。それが終わってからこのクラスは一時休校となり分析が行われたのだった。それにより恐ろしいことが判明したのだった。
「群集心理ですか」
「それとですな」
 この学校の職員室においてだった。このクラスの担任達も含めた話し合いが持たれそこでその分析結果が話されていたのである。
「閉鎖的な社会独特の行動が出ました」
「閉鎖的な社会の」
「そうです」
 述べていたのは教頭であった。彼は校長の横で強張った顔で述べていた。

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