月下に咲く薔薇 14.
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に起きる発光現象だ。
攻撃が次元獣の装甲皮にまで到達したか否かは、一見すると判断が難しい。直撃の瞬間は、次元断層が起こす発光現象によって機械判定や肉眼による確認を拒絶する。結局のところ、その後の次元獣の装甲皮や仕種、怒りの度合いから判断するしかないのが常だ。
しかもDフォルトは、次元獣の怒りの度合いによって無効化する攻撃の範囲が次第に引き上げられてゆく。獣の怒りが盾を更に活性化させ、自身の護りをより強固なものとした。
尤も、たとえ攻撃を無効化されたとしても、タケル達は同じ武器で果敢に攻め続ける。機体の背にクロウ達の視線を感じているのだから、尚の事。
彼等は今、仲間達の為に戦っている。
まだ、飛び出してはいけないのか?
ダイグレンが強調し浮かび上がらせているのは、1頭出現したというライノダモンだ。幸い、タケルの操るガイヤーが巧みに牽制しているので、未だ建物への被害は全く出ていない。
「おい」闘志也が、仲間の視線を1頭のブルダモンに誘導した。「あの次元獣、朝比奈の誘いに引っかかったぞ」
「反射で行動するからね。次元獣は」
アレルヤもにやりとして、月下5機のコンビネーションを頼もしそうに見守っている。
現れた4頭の次元獣は、大きく円を描く月下の囲みに気づく事なく、次第に一カ所にまとまりつつあった。目障りな小型機がハンドガンを撃っては素早く移動を繰り返すので、ドスドスと足音を立て最短コースで月下に近づこうとする。
結果、弧を描く月下が主導権を握り、滑走路に広がっていた筈のブルダモンは互いに距離を縮めていった。
当然、滑走路上の戦況は各母艦がしっかりと把握している。整列している3隻の中で最もハンガー寄りに停泊しているダイグレンから、可憐な女の子の声がした。
『今ですよ、皆さん! 船に向かって走って下さい!』
緊張感とは縁遠いニア姫の口調に、選抜メンバーの表情が一気に緩む。
だが、それでも待ち望んでいた猛ダッシュOKのサインだ。
「よしっ!」
全員が、目当ての艦に向かって夜の屋外へと飛び出してゆく。
どれ程この瞬間を待っていた事か。クロウも300メートルを全力疾走する覚悟で、ロックオンと共に大股で腕を振った。
途中、五飛が愚痴をこぼす。
「何故、あの女にしゃべらせている! ダヤッカは、やる気がないのか!?」
それに対し、甲児がニアを弁護した。
「いいと思うな、俺は。如何にも全員一丸、って感じがするじゃないか」
「ふん」顔を背けたまま、五飛は何も言わなくなった。
背後から聞こえてくる次元獣の声と爆発音、足に伝わってくる震動は、仲間達が必死に敵を足止めしている証だ。頭上を過ぎる2本の黄色い光の帯も、その仲間達を遠方から精一杯支えている。
全員一丸。正にその通りだった。ニアの声はとぼけて聞こ
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