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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 14.
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られていると聞く。
 つまり、良いデヴァイサーはランドスピナーの使い方でわかる、という事か。
 クロウはブリタニア・ユニオン籍の元軍人だが、MSの操縦経験はあってもKMFには触れた事さえなかった。
 KMFはブリタニア側の騎士様の乗機だったから。理由は、その一点に尽きる。
 日本の国産KMF、月下。火力はカレンの紅蓮弐式に劣るが、足回りの良さは千葉の扱いで見る者に伝わってくる。
 ハンドガンの威力ではブルダモンのDフォルトを貫通する事などできないが、彼女の判断もタケルと同じだ。常に激しく動きつつ頻繁に攻撃を仕掛け、次元獣の目を引きつける事こそ役割と心得ている。
 そろそろ頃合いか?
 身を乗り出した4〜5人が、咄嗟に数歩下がった。
 暗がりで、何か長いものが空中を泳いだのだ。その様子は、飛んだと呼ぶにはぎこちなく、ハンガー入り口の数十メートル手前で突如ぐしゃりと四散した。
 爆裂フライだ。ブルダモンの尾が付け根から外れ、敵に巻きついた直後に爆発を起こす。しかも、ブルダモンの尾はトカゲのように何度も再生してしまう。1回きりの技ではなく、会敵中複数回繰り出してくる質の悪い技だ。
 生物兵器らしく、敵に触れた事を感知しなかった尾は、爆発せずに形が歪み崩壊した。
 つまり先程の爆裂フライは、月下が巧みにかわしたからこそ爆発しないままハンガー付近まで飛来した事になる。敵とハンガーの距離が未だ詰まっている証だ。
「まだ無理です。とても出られる状況じゃない。…タケルさん達は頑張っているのに」
 ガイヤーと月下の健闘にエールを送りながらも、ルカはブルダモンとの距離を目算で計り落胆する。
 ここまで来れば、不動の母艦よりも注視すべきは次元獣戦との相対距離だ。ルカのみならず全員が、広角に視野を確保しながら夜戦の様子に釘づけとなる。
 月下が相手をしているブルダモンは、前足というものを持たない二足歩行をする次元獣だ。尾は長く、「獣」というより「恐竜」に近い。首の長さ程もある節がちな1対の角状突起を背負っている為、常に前屈みで、ライノダモンの半分強というサイズをしている。それでも全高は20メートル以上ある為、MSよりも大きい。
 地下階にいる時とは異なり、滑走路上の攻防は音と光の伴う激しい光景として目前で展開される。深夜の敵襲故、基地の投光設備だけでなくダイグレンの胸部にある両目からも、状況を照らし出す光が投げかけられていた。まるで強力なビームのように。
 しかもブルダモンとその上位種の次元獣は、全身をDフォルトというバリヤーで保護していた。Dフォルトとは俄仕立ての次元断層で、生半可な攻撃は鮮やかな光を放つ半球状の障壁によって阻まれ、装甲皮までは届かない。
 月下やガイヤーの攻撃が当たる度、滑走路に一瞬多色の光が放たれた。Dフォルトが活性化した時
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