月下に咲く薔薇 14.
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めていた。4〜5人のスタッフとすれ違う中、クロウ達はスメラギが立てたという戦術プランを竜馬から聞く。
「おいおい!」クロウとしては、こぼさずにはいられなかった。「難易度高すぎだぜ、スメラギさんよ」
「なら、お前は下りるか?」竜馬が、挑発的に投げかけてくる。勿論、クロウから何と返されるのかを承知の上でだ。
「まさか!」当然クロウは、竜馬が想像していた通りに答えた。「俺が出なきゃ、誰も納得しねぇだろ。何しろ相手は、俺の管轄のお得意さんだからな」
「自分から借金返済の機会は逃さねぇって事か」
やや呆れぎみに、武蔵が金絡みの事情として受け入れる。
「スメラギさんのご指名だ。いいデータを取って来いって事なのさ」
「…相変わらずのポジティブ・シンキングだな」
走りながら、ロックオンが口端を上げた。
「そいつも、俺の特技の一つだ」
ゲッター・チームの背を見て走りながら、クロウは軽く受け流す。
「しかし、私は口惜しいぞ」最後尾からついてくるクランが、息も切らせずに喚き始める。「支援か、我々SMSの役割は」
物足らないと言いたげなクランに、今回ばかりはミシェルも悔しさを滲ませた。
「そう腐るなよ。機体の仕様が違うんだから」
「わかっている! そんな事は。ただ…」
ゼントランの血がたぎる。つまりは、そう言いたいのだろう。
地下から上に昇ると、案の定、ハンガーの中で大型の白い戦闘機コスモクラッシャーが待機していた。ミカも搭乗を終え、タケル以外のメンバーは全て機内に揃っている。
しかし、崖面の発進口が使えない今、滑走路まで次元獣に塞がれてしまっては出るに出られない。次元獣の転移出現が、発進より僅かに早かった為だ。
コスモクラッシャーを遠巻きにするように、母艦を目指さんとするパイロット達がハンガー内の壁面に張りついていた。見たところ、ZEXISの全パイロットというには無理のある少なさだ。
スメラギが選抜したのは、おそらくはクロウ達を含め精々30人強。ロジャー達には、子供達や中原の護衛が任されている。
クロウは、短くも強い息を吐いた。体内からもやもやとしたものを息と共に追い出して、気持ちを切り替える。
次元獣に生身の背中を見せるくらい何だ。しっかりとした意気込みを持たなければ、それぞれに奮闘している仲間達に申し訳ない。
「いい腕してるな」
「あれは、千葉ちゃんね」
オリバーが見定めた月下を、一瞬目を細めてからボビーが断定した。
神聖ブリタニア帝国がこの多元世界にもたらしたKMFは、スコープドッグ・クラスの小型機で、地上戦に特化させるべくランドスピナーという滑走装置を左右の足に装備している。
戦闘中のKMFが歩く事は決してない。2本の足は直立する為のもので、デヴァイサーはランドスピナーを使いこなす事を常に求め
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