月下に咲く薔薇 14.
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とMS用ライフルを撃つ。
夜空に一瞬、半球状の彩光が放たれた。
しかし、生憎弾はライノダモンの装甲皮にまで到達していない。
『ちっ! Dフォルトが強化されたか!?』
『ロックオン、後は僕がやる』
ヴァーチェもGNバズーカをバースト・モードに切り替え、下方から次元獣の全身を光の帯で包む。この一撃で仕留める事もできそうな大出力のビーム攻撃だ。
しかし。その光景を見ていた者全員が、我と我が目を疑った。
大口径から放たれた光束は、Dフォルトを貫通しながらも次元獣を素通りし後方に抜けてしまったのだ。
夜空に描く1本の照明光の下、次元獣は尚も落下を続けている。
『どういう事なんだ?』
初弾を当てたミシェルが、再びライフルで狙撃する。
結果は、ロックオンやティエリアの時と同じだった。ビーム攻撃も実弾も、次元獣を傷つける事なく直進してしまう。
空中に留まる3機の目前を、ライノダモンが下方向に通過した。
『こうなりゃトランザムで…』
ロックオンが攻撃方法の変更を決断しかけた、その時。
滑走路の一角が、赤く閃いた。
その光は弱まりながらも消える事なく、自らの力で垂直に上昇を始める。
出現したかと思えば、既にそこにはいない。さながらビームの射出だ。
それでも、正体を見抜いた者は多かった。
『アリエティス!?』刹那がコクピットで呟くと、アルトも苦々しげに軌跡を追う。
『アイム直々のお出ましか!!』
「なに!?」
ブルダモンと対峙していたブラスタが、海中で一瞬動きを鈍くする。
ところが、アイムには海に潜る事を選ぶ気配が全くなかった。ブラスタが海中にいると気づいている筈なのに、アリエティスは何故かそれを無視し尚も上昇を優先している。
濃紺に赤いパーツを輝かせている牡羊座のスフィア搭載機が、胸部から螺旋の結晶柱を発生させた。
あれは、ブラッディ・ヴァインの発射準備だ。空中で移動を続けながら、中距離攻撃用の武器を使うつもりでいる。
「動け、狙撃手! 狙われているのはお前達だ!!」
速射を選んで、オズマのメサイアが咄嗟にビーム機関砲を撃つ。次元獣とZEXISの戦闘に割り込むなら、アリエティスの標的が、ライノダモンを狙っているデュナメス、ヴァーチェ、ミシェルのメサイアのいずれかである事は間違いない。
口径の小さな機関砲の効果など、たかがしれている。それでも、なるべく頭部を狙ってオズマは撃つ。
せめて間合いや姿勢を変えてやろうという苦肉の策だ。
右にずれ、減速し、宙返りしたかと思うと、急加速し、全弾の直撃を避けた。
今やアリエティスは先程とは別の上昇線を描き、水平方向にオズマ機を突き放して長距離攻撃機3機を目指している。
アリエティスの装甲ならば、たかが機関砲など当たったところでどうと
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