解決の時間(2016/03/31 一部修正)
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【視点:樹】
……意識を失っていた俺が最初に知覚したのは、バババババ、バババババという頭に響くレベルの騒音。その正体は一見ならぬ一聴で理解できた。ヘリの回転翼音だ。
一般人でも日常生活で偶に耳にすることはあるだろう。だが、俺の耳に届く音圧は明らかに日常生活で耳にする域を遥かに凌駕した騒音だった。
まぁ、その騒音のお蔭で意識が戻った訳なんだが………。そして、重い瞼を開いた俺が最初に視界に入れたのは有希子の顔だった。
「有希――子?」
「!!?」
俺が名前を呼ぶと、有希子は騒音元――ヘリポートに着陸しているヘリに向けていたであろう顔を俺の方に向けた。どうやら俺は有希子に膝枕されていた様だ。
それは後頭部に感じる柔らかさと、視界に入る有希子が逆さまに映っていることからも確認できる。って、目の前の有希子が急に涙ぐみ出した。何故!?
「有希――」
「馬鹿!!」
俺が何で涙を浮かべているのか問い掛けようとすると、名前を口にしている途中で有希子から馬鹿と言われた。
「この、馬鹿!馬鹿!馬鹿!!馬鹿イッキ……!!!」
「痛ッ!痛い!!ちょっ、地味に痛いから止めてくれ。有希子!!」
馬鹿を連呼――しかも、最後は相性呼び捨てでポコポコと俺の胸を殴ってくる有希子。普段なら痛みすら感じない打撃の筈が、自分の女が泣きながら殴って来ているだけで俺には凄く痛く感じた。
ってか、馬鹿馬鹿言われながら殴られるとか、俺は本当に何したんだ?土下座状態でカスデブに蹴り回されていた所までは記憶があるんだが………。
「………なぁ、土下座状態でカスd―――鷹岡に蹴り回されていた所までの記憶はあるんだけど、それ以降に何かあったのか?悪いが記憶が無いんだ」
俺は有希子以外で一番近い場所に居た渚に視線だけ向けながらそう問い掛けた。すると―――
「覚えてないの、イッキ君!?」
「恐らく、南君の意識を刈り取った磯貝君の蹴りの衝撃で記憶の一部も飛んだんだろう」
渚が驚きの声を上げ、烏間先生が俺の意識と記憶の一部が失われていた原因について簡潔に説明してくれた。
「………悠馬が意識を失う程の蹴りを俺に放つって、一体どんな状況なんですか?」
「それは――――」
友達――というか、クラスメイト思いの悠馬がクラスメイトに蹴りを放つという状況を想像できなかった俺が問うと、烏間先生が現状に至るまでの説明をしてくれた。
簡潔に述べるなら、カスデブが有希子を含むE組女子を強姦する発言に俺がブチ切れ、俺がカスデブを再起不能になるまで半殺し。
その後、実際にカスデブを殺そうとした俺を烏間先生含む出撃組のほぼ全員が協力して止めてくれたそうだ
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