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戦国異伝
第二百二十七話 荒木謀反その十二

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「見破られていたか」
「我等のことを」
「それでか」
「ううむ、では」
「どうするかだな」
「ここは」
 楯岡と音羽は石川に問うた。
「戦うか退くか」
「どちらか」
「去ることは出来る」
 石川は織田の軍勢が迫る中で言った。
「逃げ道は作っておる」
「うむ、夜になればな」
「そこに紛れて逃げよう」
「そうじゃな、ではそれまではな」
「戦か」
「戦うか」
「わしは戦が好きじゃ」
 石川は二人に楽しげに笑って言った。
「だからな」
「御主はそうじゃな」
「とかく戦が好きじゃからな」
「ここでもじゃな」
「戦うつもりじゃな」
「思う存分な、そうするわ」
 こう言ってだ、実際にだった。
 石川は迫る織田家の軍勢に向かって行った、そして。  
 楯岡と音羽もだ、やはり戦うのだった。三人はそれぞれ忍術や剣術、それに火薬を使って戦っていた。その三人を見てだった。
 荒木は天守においてだ、黒田に問うた。
「あの三人じゃが」
「随分強いですな」
 黒田は眼下で戦うその三人を見て荒木に答えた。
「はて、あの様な者達は」
「わしは確かに暗い連中を迎え入れたが」
「あそこまでの者達は」
「あそこまでの腕となればな」
「荒木殿もご存知ですな」
「名がない筈がない」
 到底というのだ。
「あの強さではな」
「はて、何者なのか」
「捕らえるべきか」
 ここでだ、こうも言った荒木だった。
「あの者達を」
「はい、それがよいかと」
 黒田も荒木に確かな声で答えた。
「出来ればですが」
「ではな」
「はい、ただ」
「あの強さではか」
「捕まえられるやも知れませぬ」
「そうじゃな、確かに強い」
 荒木も言う。
「それでは捕まえるとなると」
「兵がどれだけ死ぬか」
「わかりませぬ、ですから」
「では捕らえられぬなら」
「鉄砲で撃つなりしてです」
 仕留めるしかないとだ、黒田も言う。そうしたことを話しつつだった。
 荒木もまた戦の采配を執っていた、それは信長も同じでだ。
 本陣においてだ、兵を城の中に進めさせてから言った。
「出来れば敵は多くな」
「はい、捕虜にですな」
「それにしたいですな」
「聞きたいことが多い」
 それ故にとだ、幸村と兼続に言うのだった。
「あの者達にはな」
「だからですな」
「一人でも多く捕らえ」
「そのうえで話を聞く」
「何かと」
「そうしたい、出来るだけ殺さず捕らえよ」
 こう命じるのだった。
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