第二百二十七話 荒木謀反その十
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「お戯れを」
「十二郎殿、ご冗談が過ぎます」
「違う、わしは上様と戦いなぞせぬ」
荒木は笑って二人に答えた。
「わしが戦うのは城の中にいる浪人共じゃ」
「あの得体の知れぬですか」
「やけに暗い服を着ておる」
「あの者達とですか」
「戦うというのですか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「だからじゃ、ここはな」
「あの者達と戦う為に」
「我等も」
「そういうことじゃ、よいか」
また二人に言ったのだった。
「これよりな」
「十二郎殿、まさか」
「まさかと思いまするが」
「最初からですか」
「そのおつもりで」
「話は後じゃ」
荒木はここでは多くは語らなかった、だが。
すぐに立ち上がりだ、こう言ったのだった。
「では皆の者よいな」
「よいなとは」
「では一体」
「これからどうされるのですか」
「戦ですか」
「そうじゃ、戦じゃ」
まさにそれを行うとだ、荒木も答えた。
「よいな」
「あの、上様ではないですな」
「そのことは」
家臣達は黒田の言葉を荒木があっさり受け入れたことを見てそれはないとわかった。だがこの状況を見てだ。
誰と戦をするかわからない、それで言うのだった。
「しかしその相手は」
「一体誰なのでしょうか」
「あの、戦と言われましても」
「一体何処の誰でしょうか」
「そもそも」
「浪人共じゃ」
荒木が言う相手は彼等だった。
「あの者達を攻めるぞ」
「浪人達をですか」
「城の中にいる」
「あの者達をですか」
「攻めるというのですか」
「そうじゃ、よいな」
荒木は微笑んでさえいた、そしてだった。
全軍にだ、あらためて告げた。
「敵は浪人共じゃ、よいな」
「さすれば」
「これより」
戦の相手を決めてだった、荒木の軍勢は攻めはじめたのだった。
だがその攻める相手を見てだ、城を囲んでいる多くの者は驚いて言った。
「なっ、内輪揉めか!?」
「城の中で戦がはじまったぞ」
「荒木殿の軍勢が攻めておるぞ」
「青い軍勢がな」
織田家の色のままの彼等がというのだ。
「何やらな」
「あの暗い連中を攻めておるぞ」
「一体どういうことじゃ」
「城の中で何があったのじゃ」
「訳がわからぬ」
「どうなっておるのじゃ」
城の外の者達は首を傾げさせる、しかし。
荒木は黒田にだ、天守から城の中を見つつ言うのだった。
「ではな」
「はい、それがしは軍師として」
「この度の戦助けてくれるか」
「このまま、では」
「要所は抑えておる」
城のそこをというのだ。
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