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茂みの声
4部分:第四章
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第四章

「これって。洒落にならないわよ」
「洒落にならないなんてものじゃないだろ。これはすぐに警察に通報だ」
「やっぱりそうなのね」
 天野の言葉を聞いて頷く。やはり結論はそれだった。
「警察よね」
「他にどうこうすることもできないだろ、俺達には」
「そういうことね。それじゃあ」
 こうしてこの死体のことは警察に通報された。そこから大騒ぎになりマスコミが来るわ警察は真犯人を捜そうと躍起になるわ結果として真犯人が見つかってそこからドロドロとした愛憎劇まで伝えられたがこれは天野達には関係ない話だった。彼等はあることが気になっていたのだ。
「事件のことは置いておいてな」 
 部室で。天野が言うのだった。原田と福田もいる。今部室にいるのは三人だけだった。
「問題はやっぱりあれだな」
「何であんな音が録音されていたかよね」
 流石に原田も今回ばかりは携帯だのクロスワードだのをいじってはいなかった。深刻な顔で二人に対しているのだった。
「何でだと思う?」
「天野、御前言ったよな」
 原田は強張った顔で天野を見つつ彼に尋ねた。
「録音できる状態にして置いておいたら音が取れるって」
「言ったさ。それでもな」
「これは考えていなかったってことか」
「精々妖精か何かだと思っていた」
 天野は暗い顔になっていた。その顔で答える。
「それでもこれはな」
「考えていなかったか」
「妖精どころかね」
 福田も言う。
「これって。何だと思う?何であんな音が入ったと思う?」
「事件のことは置いておくって言ったけれどな」
 福田の今の言葉に原田が答えてきた。
「殺人事件だったよな」
「ああ」
「ニュースで五月蝿い位に言っているわよね」
 他の二人もそれに答える。
「妻子ある男と不倫して別れる別れないで殺されて」
「それで裏山だったな」
「話としてはよくあるな。それでかなり怨みを飲んで死んだ」
 原田はそこを指摘する。
「それで。録音させたんじゃないのか?俺達にこのことを知らせたいから」
「それでなのね」
「そうじゃないのか?」
 原田は福田の言葉に対してこう返した。
「それであんな音が入ったんじゃないのか」
「俺達はそれを聞いて掘り返した。それで事件がわかった」
 天野は言う。
「そういうことか」
「これだと話が合うな」
 原田はこう結論付けたのだった。
「全部な。会っただろ」
「そうね。ただ」
「ただ。何だ福田」
 天野は今度は福田に対して尋ねた。
「何でこんな音が入ったの?そもそも妖精の声だのが入るっていうこと自体が普通に考えておかしいじゃない。まあこれ言ったらどうしようもないけれど」
「科学とかそんなのじゃ説明がつかないってころか」
「まあ麻奈馬鹿だけれど」
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